VIEW21 2003.2  指導変革の軌跡 広島国泰寺高校

国泰寺テストを
スタートさせた00年度初め、機を同じくして同校は県教育委員会の「学力向上対策重点校支援事業」にも名乗りを挙げた。国泰寺テストで生まれた組織的な指導体制を生かして、さらなる授業改善の取り組みを実践していこうというのが、そのねらいだった。「習熟度別授業」や「はるかぜ合宿」「シラバス作成」などがその代表である。
 習熟度別授業は、理解度の差が目立ちやすい英語と数学の2教科で、発展クラスと標準クラスの2タイプに分けて実施されている。1クラス30人以下の小人数教育なので、生徒一人ひとりに目を配ることができる。
 「生徒の学力が多様化していることへの対応と、学習のモチベーションアップがねらいでした。実施後のアンケート結果を見ると、教師だけでなく生徒の満足度も高いようです」(教務部長・阿萬光朗先生)
 また、1年生を対象に入学式翌日から行われるはるかぜ合宿は、高校における学習方法を修得させ、学ぶ意欲を高める目的で実施されている。昼は1コマ50分の授業、夜は課題に基づいた家庭学習、最後に確認テストを実施し、高校での学習の流れを短期間のうちに模擬体験させる。そのため、高校での学習についていけるかどうか不安に思っている生徒にとっては「不安解消」の役割を果たすのだ。
 またシラバスについては、新課程を前に全面的に改定した(図1参照)。新しいシラバスは、前期・後期ごとの授業の進度を示すだけでなく、単元ごとの到達目標、評価の観点や評価方法を細かく明記。加えて、自己評価や考査の素点など生徒記入欄を随所に設けることで、生徒が常にシラバスを確認しながら主体的に学習することができるよう工夫した。

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はるかぜ合宿では、国数英の3教科の学習方法を体得する。実施後のアンケートによると、7割近い生徒が「勉強の仕方が分かるようになった」と回答している。


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