Part 2 Research ベネッセ教育総研 研究レポート 学習力の構築へ向けて
生徒の「学習力」を、どのように捉え、育成すべきなのだろうか。ベネッセ教育総研が全国の公・私立高校と行った共同研究の成果を踏まえて、そのヒントを探りたい。
1 学力形成のプロセスを階層的に捉え直す
「学習に向かいにくくなった」と言われる生徒たちを、いかに「学び」に向かわせて「学力向上」を実現していくかをテーマに、ベネッセ教育総研では今年度、公・私立高校との共同研究を行ってきた。その成果として、図1に示したような学力の形成プロセスを階層的に捉える視点を得るに至った。
最も関心を集めるD結果としての学力を向上させるには、生徒の学習行動の成立と継続は当然必要であるし、それに加えて学習行動自体も的を射たものでなくてはならない。つまり「見えやすい学力」を高めるためには、A学びに向かう力やB学ぶ力としての学力などの「見えにくい学力」に対しても具体的にアプローチする必要性があると考えられる。
また、共同研究にご参加・ご協力いただいた先生方からは、次のようなお声を多くうかがった。それは、教師の生徒理解の視点が点数や順位、偏差値などのD結果としての学力に偏ると、時として「『頑張れ』と言うだけの指導」に陥りやすいのだが、これを克服して、生徒の学ぶ意欲に働き掛ける「具体的な切り口」や、子どもの心に響く「言葉」を探り、共有化していきたいというものだ。
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