ベネッセ教育総合研究所 ベネッセホールディングス
生徒の多面的把握が指導を変える
諏佐一夫
福島東高校進路指導主事
諏佐一夫
Susa Kazuo
教職歴21年目。同校に赴任して9年目。「『夢はかなえるためにある』と生徒に言い聞かせています」

根本幸夫
福島東高校教務主任
根本幸夫
Nemoto Yukio
教職歴22年目。同校に赴任して4年目。「挫折も含めた豊かな経験が『生きる力』を育てる」
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福島県立福島東高校の実践事例
面談を中心とした生徒把握で
きめ細かな指導を実現
 地域の進学校として毎年着実な進学実績を積み重ねている福島東高校は、「生徒一人ひとりをしっかり見てくれる学校」として地域の人々から厚い信頼を寄せられている。事実、同一市内には進学実績がより高い高校があり、入学段階では学力の違いがあると予想されるにもかかわらず、同校からも毎年難関大合格者が輩出するなど、「東高に入れば伸びる」という評判は毎年着実に高まっている。
 進路指導主事の諏佐一夫先生は、この成果を緻密な生徒把握の実践と結び付けて考えている。
 「確かに本校は、学習合宿や大学見学会など様々な教育活動を行っていますが、個々の取り組みそのものに目新しさはないかも知れません。しかし、一つひとつの活動を、しっかりとした生徒把握に基づいて行ってきたことが、結果として進学実績をはじめとする教育の成果に結び付いているのだと思います」
 では、同校ではどのような手法で生徒把握を行い、指導改善に生かしているのだろうか。以下で具体的に見ていきたい。
毎学期始めに「面接週間」を設定
 同校の生徒把握において中心的な役割を担っているのは、生徒との個別面談である。面談と聞くとありふれた試みのように聞こえるが、同校が毎学期始めに全生徒を対象にした「面接週間」を設定し、学校を挙げて定期的な生徒把握に努めている点は注目される。教務主任の根本幸夫先生によれば、特に入学後最初の面談は、実施時期・事前準備共に十分に計算された上で行われているという。
 「入学直後に面談を行うという方法もありますが、多くの生徒は新しい環境に適応するのに精一杯です。1か月の猶予期間を設けることで、生徒と心を開いて話ができるようにしたいと考えました。また、その間を利用して、教師の側では面談に向けた事前準備を行います。4月には基礎的な生活習慣や学習時間を把握するために、外部のアセスメントを使った実態調査を行いますし、同月末には家庭状況を把握するために保護者と個別面談を行います。生徒と直接話をする前に、教師がある程度生徒の状況を把握しておくことで、面談1回当たりの密度を高めたいのです」(根本先生)
 一方、生徒に対しては自らの生活を自己点検できるような仕掛けが用意されている。同校独自の生活記録帳票「プログレス」がそれだ。
 「『プログレス』は生徒が毎日の生活時間や教科ごとの学習時間を記入するだけではありません。教師がきちんと回収して、適宜生活指導上のアドバイスを記入しています。教師が日々の生活パターンを理解するのはもちろん、生徒にも自分の生活を律していく姿勢を身に付けてほしいのです」(諏佐先生)
 
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