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生徒の多面的把握が指導を変える
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3 個人面談
島根県立出雲高校 2002.vol.1 p.19~21参照
 出雲高校では、入学式直後から大学入試に至るまで、担任がきめ細かな個人面談を行うことで生徒把握に努めている。特に3年次には、生徒の学習状況や希望進路、家庭での状況などをリアルタイムで把握するため、年10回もの面談が行われる。
 また、面談の結果を進路指導に生かす点も重視されており、進路部と学年団、さらに校長や部活動顧問まで加わった「進路検討会」が生徒一人につき計5回行われ、面談資料や成績データを共有した上で生徒一人ひとりの進路が検討される。
 こうした指導が学校全体で継続された結果、同校卒業生の国公立大合格者数は、この10年で倍増している。きめ細かな面談の実施が、有効な生徒把握の手段となっている好例と言えよう。

 方法論の違いこそあれ、いずれの学校においても狭義の学力のみならず、日々の生活習慣や学習姿勢も含めて調査している点は注目に値するだろう。また、面談や教職員の情報交換が密接に行われるなど、調査結果を着実に指導に生かす手法が確立している点にも学ぶべきことは多い。
 もちろん、生徒把握に向けた取り組みはここに挙げた三つの事例だけではない。休み時間や清掃時間の生徒への声掛けも、意識的に行えば十分生徒把握の手法として成立し得るであろう。各校の実状に応じた方法を摸索したい。
生徒把握を通じた指導改善のサイクル


生徒把握を指導に還元する体制づくり
 生徒把握に際しては、把握の手法そのものに目新しさを求める必要性が必ずしもあるわけではない。実際、三つの事例校と同様の手法で生徒把握を実践している学校は少なくないだろう。むしろ、ここで留意しなければならないのは、手法そのものの優劣ではなく、把握した生徒の状況を、確実に指導に還元するルートが確保できているか、また、自校のSI(スクール・アイデンティティ)や生徒の実状に応じた適切な手法が選択できているかである。
 これらの点を踏まえ、今後生徒把握において必要な一連の流れを整理するならば、以下のような作業が必要になるであろう。
(1)生徒を把握する目的の明確化
(2)目的に応じた手法の確立
(3)実施分掌・セクションの明確化
(4)把握した生徒の実状を指導に還元するルートの確保
(5)継続的なリサーチと、データの継続比較・学校群比較
 このようなステップは一般論としてのものであり、学校の状況に応じた対応が求められるのは言うまでもない。
 中学校の新課程は一斉導入であり、3年間に渡って新課程教育を受けた新入生が入学するのは05年度になる。新入生の気質・学力の変化が比較的少ないと予想される現在のうちに校内の意見を集約し、体系的な生徒把握モデルを構築しておきたい。
 
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