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生徒の多面的把握が指導を変える
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生徒把握の具体的手法
 授業形態のみならず、学校全体の指導の在り方にも影響を与える新入生の気質・学力の変化。「いかに早く正確に生徒把握を行い、それに対応した指導体制を構築するか」という命題は、すべての学校にとって差し迫った検討課題なのである。
 では、具体的にどのような手法で生徒把握を行い、その成果をどのように指導改善に生かすことが可能なのだろうか。これまで本誌にも登場した、全国の先進事例校の取り組みに改めて着目してみたい。
1 定量分析
徳島県立脇町高校 2002.vol.6 p.50~51参照
 脇町高校では入学直後の新入生把握のために、学習時間や学習方法、生活習慣などの定量分析を行うことができる外部のアセスメントを実施している。その結果は担任会を通じて学年団の教師で共有され、授業改善に生かされる他、面談を通じて生徒にも還元される。
 その際には、生徒に自分のデータを自己分析させ、今後の学習・生活面での課題を自覚させるよう配慮される。学年全体の傾向をつかむことにとどまらず、生徒個々人の問題意識の発掘にも、定量データが生かされている。
2 アンケート
兵庫県立小野高校 2002.vol.2 p.22~23参照
 小野高校では、「総合的な学習の時間」の活動内容を決定するに当たり、学習時間や生活習慣のみならず、学校に期待する役割などの項目を設定した「生徒意識調査」を実施し、多面的な生徒把握を行った。
 さらに、集まったデータの分析に際しても、学習行動と自己形成の相関など、生活指導面にまで踏み込んだ分析手法が用いられ、生徒の多面的把握が目指された。そして、その結果を踏まえ、生徒に欠けている「学ぶ手法」の確立を主軸とした「総合学習」を計画、02年度より実施している。
 生徒の実状を踏まえて活動内容が決定できたのはもちろんだが、客観的なデータを集めることで教師全員が共通の課題認識を持つことができている。
写真 小野高校が実施した「生徒意識調査」の集計結果。集めたデータをどのように集計するかも、生徒把握を指導に還元するためには忘れてはならない検討事項だ。
 
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