ベネッセ教育総合研究所 ベネッセホールディングス
新課程のスタート状況と今後の展望
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( 学期制の変更 )
 02年度からの完全週5日制導入を期に3学期制から2学期制にシフトする機運が生まれたが、この傾向は、02年度→03年度の間でも続いている(資料8)。今回の調査でも2学期制を採る高校が4.1ポイント増え、3学期制の学校は4.5ポイント減少している。ただし、私立校での変化は少ない。
 公立校では、3学期制の割合が03年度は58.3%と6割を切り、逆に、2学期制を採る高校が36.6%と4割に近付いている。
 2学期制への移行により、学校行事や定期テストの精選で授業時間数を確保できることや学期ごとの単位認定が可能などのメリットを生かそうとする動きと考えられる。2学期制は、高校だけでなく、小学校、中学校段階においても広がる傾向を見せている。今後とも2学期制への移行を検討する高校が生まれてくることが予想されるが、定期考査の間隔が広がることによる成績不振者の発見の遅れや、生徒の緊張感を持続していくことの難しさなどの問題点も指摘されている。
資料8
( 土曜日の活用状況 )
 前回の調査(02年度本誌4月号)で、土曜日の扱いについては、前々回の調査時と比べ、公立校でも「完全休日」は激減し、土曜日対応の検討が進んでいることを報告した。
 今回の調査においても、02年度の実績について、「完全週5日制としている(土曜日は休み)」と回答している割合が、私立校の3割程度に対して、公立校では9割に及んでいるものの(資料9)、「休みとしている土曜日の活用状況」の問いに対しては「特に何も対応していない」は2割に満たず、大半の高校が補習などの教科指導、テストや模擬試験などの実施、自主学習にして学校を開放するなど生徒を学習に向かわせる何らかの措置を採っていることが分かる(資料10)。
 以上のことから、「土曜日は休み」の実態は、「休み扱い」ということにすぎず、対応する教師の人員確保や報酬の問題など、運用上の問題を少なからずはらんでいる場合が多い。今後の学校運営にとっても頭の痛いテーマであることには変わりはない。
 土曜日の在り方については、今後、行政サイドも含め、保護者や地域との合意づくりが求められていくことになるだろう。
資料9、10


ほとんどの高校が「5教科7科目」に対応済み
 国立大のセンター試験5教科7科目への対応に関しては、フリーアンサーの回答を見ると、大多数の高校で対応済みとなっている。文系・理系のコース別カリキュラムの工夫と選択履修の活用を考えている高校が主流だが、これに加えて、志望に応じた課外授業の実施や、土曜日の補習を見込んでいる高校もある。
 しかし、国立大入試の「医学部理科3科目」に関する対応については、「理系において理科I類を3科目、理科II類を2科目取れるように教育課程を編成した」「選択科目で履修できるようにした」などとする高校も一部にはあるものの、「対応不可能」あるいは「カリキュラムでは対応できないので必要に応じて個別指導するしかない」「本人に任せる」といった回答が目立っている。多くの学校ではやはり対応に苦慮している。
 入試の実際の動向が明らかになるまで、結論を先送りしている学校もあるようだ。回答の中には、「『理科3科目』は高校現場の現状に相容れない。大学内で基礎教育ができないツケを高校に回そうとしている」という大学への厳しい批判の声もあったことを付け加えておきたい。
 
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