ベネッセ教育総合研究所 ベネッセホールディングス
課題発見・解決型の学習で生徒の学力向上を実現する
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 今年度から全国的に取り組みが始まる「総合的な学習の時間」。まだ多くの高校がどのような指導を展開するべきか模索段階にある中で、96年度より「総合学習」に当たるセサミプランを導入しているのが久留米高校だ。
 久留米高校が7年前にセサミプランをスタートさせた背景には、当時同校が直面していたある課題を解決したいという思いが、強く働いたからだという。企画振興部主任の石井倫子先生は当時を振り返ってこう語る。
 「本校も以前は、課外授業や宿題などの量に頼る学習指導によって、生徒の学力を伸ばそうとしていました。しかし結果は逆効果で、膨大な学習量を前にして生徒は疲れ切り、積極的に学びへと向かう意欲を低下させていたのです。また学校生活の面では、素直だけれど受け身で自主性に欠ける生徒が多いのも課題でした。そんな状況に危機感を抱いた先生方で議論を重ね、量重視の指導ではなく、生徒が興味・関心に基づいて学習課題に取り組む中で、学ぶこと、生きることに前向きになれるような指導に転換するべきではないかという認識を共有するようになったのです。こうして始めたのがセサミプランでした」
 実際にセサミプランは、学ぶこと、生きることに前向きな生徒を育てる上で大きな力を発揮している。まず、セサミプランを導入してから生徒会活動や部活動の様子が変わった。特に部活動は「かつては部活動費が余って困っていたくらい」だったのが、県大会や九州大会に出場する部が増加、剣道部や陸上部(個人)、書道部、新聞部は全国大会出場も果たし、今では部活動費が足りなくて困るほど盛んになっている。
 「陸上部で全国大会に出場した生徒は、中学校時代は市内の大会で入賞するのがやっとというレベルだったようです。ところが本校に入学後、自分で図書館に行って効果的な練習方法を調べ、自分自身で工夫しながら練習する中で全国大会に出場するまでの実力を身に付けていきました。セサミプラン効果と言えるでしょうね」(石井先生)
 一方、進学実績も、40名前後から100名強へと国公立大合格者数が飛躍的に増加した96年度入試から引き続いて、高い水準で安定している。当時の3年学年団が「量だけに頼る指導」から「内面を育成する指導」へと指導方針を切り替え、96年度に新1年生を迎えたことが、セサミプラン実施後も進学実績を安定させる大きな要因になっているのである(図1)。
 「受け身の生徒が減り、生徒が自信を持ってあらゆることに積極的に取り組むようになりました。その成果が部活動や進学実績になって表れているのだと思います」(石井先生)
図1
 
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