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課題発見・解決型の学習で生徒の学力向上を実現する
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セサミプランの
02年度の取り組みポイントを、セサミ推進部主任の木本京子先生は次のように説明する。
 「セサミプランでは、生徒は3年間を通して課題研究活動を行います。まず1年次には課題研究をする上で基本となる図書館やコンピュータの活用法、実地調査の方法を身に付けながら、ディベートや小論文の作成に挑戦します。2年次には、生徒が自分の興味・関心に基づいて研究テーマを設定して調査研究を行い、原稿用紙10枚以上の論文を仕上げることを目標とします。そして3年次には、夏休みまでは自分が志望している学部・学科で学ぶ内容に関係するテーマを設定して論文を作成し、2学期以降は入試を意識した時事問題研究や小論文対策へと移行します。つまり1年次を基礎トレーニング、2年次を興味・関心に基づいた論文作成、3年次を興味・関心を自分の進路や在り方、生き方へと結び付ける時期と位置付けているのです」
 このセサミプランの取り組みをさらに細かく見ていくと、生徒の力を伸ばすための工夫が浮かび上がってくる。例えば、1年次に行われるディベート大会。02年度は、「日本政府は環境税を導入するべきである。是か非か」など、環境をテーマとした三つの論題がクラスごとに割り振られた。生徒は1チーム5人で、肯定側と否定側に分かれてクラス内予選を実施、勝ち上がったチームがクラス代表としてクラス対抗ディベート大会に出場した。
 「01年度までは1年次に小論文を3、4回書かせる指導をしていたのですが、あまり内容に深まりが見られませんでした。そこで、02年度からディベートを取り入れてみました。当初は、ディベート指導のできる教師がいなかったので、大学等の先生をお招きしてディベート研修会を開催しました。ディベートは小論文と違い、口頭での表現も重要になります。口頭で相手に自分の意見を伝えることは、これからの時代に求められる重要な能力の一つですし、自主性に欠ける本校の生徒には、良い刺激になると思いました」(石井先生)
 ディベート活動を通して、生徒はただ集めた情報を羅列するだけでは相手を説得できないことにも気付いていく。また、インターネットで公表されているデータには根拠に曖昧なものも多いため、図書館の文献を検索することも盛んに行われるようになった。
 「生徒に小論文を書かせると、調べた結果をそのまま並べていたり、調べた結果と自分の意見がうまく結び付いていなかったり、深まりのある展開ができていない文章が時折見られます。その点ディベートなら、質疑応答や反駁などのやりとりの中で、相手に勝つために説得力あるデータを効果的に提示しながら論理展開することが、否応なく求められます。生徒はディベートによって、小論文でも必要とされる論理的な思考力、表現力を自然と身に付けられるのです」(木本先生)
 一方、2年次の課題研究では、自分が興味・関心を抱いているということだけがテーマ設定の条件になっている。
 「課題研究を有意義なものにするには、テーマ設定がポイントになります。生徒が書いた『テーマ決定理由書』を基に、担任との面談によってテーマ設定を行うのですが、一番重視するのは、そのテーマに取り組むことによって何を明らかにしたいのかという生徒の問題意識です。問題意識がしっかりしていれば、調べ学習にも力が入ります。また、医療問題をテーマにした生徒は医療機関を訪ねて話をうかがうというように、必ず実地調査を課しているのですが、現場を体験することで問題意識はより深まります。そして、長い期間をかけて調べ、考えたことを10枚以上の論文にすることで、達成感も味わえる。もし漠然とテーマ設定をしてしまっていたら、これらの取り組みは苦痛でしょうし、上滑りした活動になってしまうと思います」(木本先生)
図2
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