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大学生でさえ卒論のテーマ設定に苦労するのに、高校生が自らの問題意識に根差したテーマを設定するのは容易なことではない。白水麻理先生は、「セサミプランに限らず、生徒に様々な体験をさせることで自分の興味・関心に気付かせることが大切」と言う。
「その一つとして本校では、毎朝10分間、朝読書の時間を設けています。マンガや教科書以外なら何を読んでもいいんです。必然的に読書量が増えますから、読書体験の中からテーマを見つけている生徒も少なくありません。また私は英語科担当なのですが、授業ではできるだけ様々なテーマの英文を生徒に与えるよう心掛けています」
優れた論文はクラス代表として選出され、1・2年生全員と学校外から招いた審査員を前にして発表が行われる。さらに、すべての論文は「要旨集」として1冊の冊子にまとめられる。自分の論文が他者の目に触れることで、人に読まれることを意識した文章を書く姿勢を、生徒は身に付けていくのである。
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紹介してきた同校のセサミプランは、あくまでも02年度の取り組みである。「自分で考え行動できる意欲的な生徒を育てる」というねらいは一貫していても、そのための方策は、生徒や学校の組織体制の状況に合わせて常に変化してきている。実は、02年度は、1年次のディベート導入に加え、2年次の修学旅行に伴う異文化理解・国際関係の学習を導入、2年次の課題研究テーマの検討・決定を1年次の3月に前倒しするという改訂も加えられている。8年目を迎えるセサミプランが成長し続けている秘訣は何なのだろうか。
「セサミプランは、学校の現状に危機感を抱いた有志の先生の集まりから始まりました。それが次第に周囲の理解を得て、多くの先生が積極的にかかわるようになったのです。もちろん校長、教頭のバックアップがあったことは言うまでもありませんが、現場の教師が、どうすれば生徒をより成長させることができるだろうかと、考え続けている結果だと思います。現在も先生方にはセサミプランに関するアンケートを実施していますが、アイディアが尽きることはありません」(石井先生)
白水先生も02年度のディベート活動の担当者として、次のように語る。
「先生方にディベート指導のためのワークシートを配ると、もっとこうした方がいいんじゃないかと、皆、一生懸命考えてくださいます。ある先生からは『今回はディベートのテーマを教師で決めたけど、次回は生徒自身に決めさせると動機付けになるんじゃないか』というアドバイスもいただきました。今後のディベート活動に反映させていきたいですね」
生徒の力を伸ばすために、教師集団が自主的に改善案を出し合い、活動へと取り込んでいく。生徒は教師の期待に応えて成果を上げる。そんな好循環の中で、同校の取り組みは益々深まりを増している。
ディベート研修会において、討論の基礎を学ぶ1年生たち。一連の研修会、大会を通して、情報収集力、論理的思考力、表現力を身に付けていく。
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