ベネッセ教育総合研究所 ベネッセホールディングス
生徒の実態を継続的に調査し、指導改革案を立案・検証する
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第1回の
生徒実態調査の結果を受け、1学年では進路指導課と合同で緊急に学年会が開かれた。そして、進路指導課からの提案で、各教科担当ごとに調査結果を分析し、その場で今後の指導方針を決定した。
 「調査をしても、その結果を指導に還元しなければ意味がありません。『調査結果を受けて、どのような指導をするのか』ということまで、この機会に議論しました」(水野先生)
 この時、特に問題となったのが数学の成績不振である。1学年で数学を担当していた柳原正夫先生は、浮かび上がった問題点とその後の改善案について次のように語る。
 「家庭学習の時間が他の教科に比べて少ないのが印象的でした。また、実態調査の結果と照らし合わせると、週末課題の量が生徒の学力レベルに比べて多すぎることに気が付きました。そこで、課題の分量を抑えると共に、生徒がきちんと頭を使って考えられるよう、問題を精選することにしました。さらに、担当教師によってばらばらだった課題の内容を統一し、学年全体で共通化しました。もちろん、そのために授業進度そのものも学年で揃えるようにしました」
 各教科ごとの対応に加え、学年全体の指導の在り方も見直された。
 「この時は全教科で週末課題の改善が課題となりましたが、分量を調節せずに各教科がばらばらに課題を出せば生徒に過剰な負担を掛けてしまいます。そこで、各教科がどんな課題を出しているのかを、職員室に設置した専用の黒板に書き込むようにしました。これで他の教科が出している課題を教師が相互に確認できるようになり、トータルバランスを見ながら課題を出せるようになりました」(徳増先生)
 このように第1回の生徒実態調査は、主として現状の生徒に応じた指導を構築するのに活用された。これに対して、第2回の調査で教師たちが重点的に取り組んだのは、「第1回の生徒実態調査を踏まえた指導改革が、効果を上げているのかどうか」という視点で調査結果を分析することである。
 「例えば、ある教科で特定の単元を強化するための指導を実施したとします。それがきちんと効果を上げたかどうかを、次の調査で検証するのです。生徒の実態把握は指導改革の手法そのものの妥当性を評価する手段でもあるのです」(水野先生)
 データを見る限り、同校の指導改革は順調な成果を上げているようだ。 「第1回の調査では、英語の予習において『テキストを全文訳す』という生徒はほとんどいませんでしたが、今では80%近くの生徒がやってくるようになりました。また、数学においても予習時間は順調に伸び、模試の成績も上向き始めています。データを基に、予習の仕方や弱点分野をきちんと生徒に伝える指導ができるようになったことや、指導手法の妥当性をその都度検証できるようになったことが、成果につながっているのだと思います」(徳増先生)
資料1
同校の進路指導課では生徒のデータを様々な手法で分析し、改革案を議論する際に資料として活用している。補習の受講が成績に与える影響など、具体的な指導改革につながる分析手法が注目される。
 
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