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学校活性化に自己点検・評価を生かす
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全校体制で学校活性化に邁進したい
 このように、同校の「学校経営計画」には、学校の自律的な指導改革を積極的に推進していくための仕掛けが随所に施されている。しかし、同計画が一定レベルの完成度に達するまでには、クリアすべき課題も多かったという。
 「正直なところ、最初の1年はトップダウンで進めた部分が多かったと思います。校内には『学校経営計画』の必要性を疑問視する声や、作成そのものに否定的な意見もありましたから、まずは私自身がその意味や重要性を率先して先生方に訴えていきました。しかし、実際に『学校経営計画』が機能し始めると、次第に校内の空気が変わってきました。自ら設定した目標を達成することの喜びを教師一人ひとりが感じ、指導改善の効果を実感するようになったからだと考えています。当初はトップダウンで設定していた各分掌の目標も、今では、分掌の方が率先して設定し、自己評価を行うようになっています」(内田校長)
 こうした「学校経営計画」による学校運営を進めていくに連れて、生徒、教師に様々な変化が表れてきたという。その好例の一つが、夏休みの補習時間増で生まれた進学意欲の向上だ。
 「実態調査によって、これまで夏休みの補習時間は、生徒の潜在的な進学意欲が高いにもかかわらず、それに見合う時間を確保していないことが分かりました。そこで、思い切って夏休みの補習時間を従来の倍にしたところ、徐々に生徒の学習意欲が向上してきたのです。事実、進学希望先調査では、より高い進学先を希望する生徒の割合が増加してきています。こうした生徒の変化に伴って、教師の方も明らかに指導に対する意欲が高まってきました。今では、様々な取り組みを率先して前倒しする雰囲気も見え始めています」(内田校長)
 まずは校長がビジョンを示し、実践を通して同じ意識を教職員全員に浸透させていく――。このようなトップダウンからボトムアップへの転換がうまく図られたことが、同校の取り組みを成功させた要因と言える。
 インタビューの最後に、内田校長は、教職員全員が学校運営を支える一人であることを自覚する意義を改めて強調した。
 「学校活性化を実現するためには、全教職員が高い意欲を持ち、結束力の強い組織として邁進していくことが大切です。そうして初めて、『生徒・教師共に活気溢れる明るい学校』という本校のビジョンが実現できると思います」
 
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