ベネッセ教育総合研究所 ベネッセホールディングス
シラバス作成をどのように進めるか?
定久敏明
北海道札幌北高校教諭
定久敏明
Sadahisa Toshiaki
教職歴31年目。同校に赴任して4年目。数学担当。「基本をしっかりと教えた上で、自立した生徒を育成したい」

高松洋司
北海道札幌西高校教諭
高松洋司
Takamatsu Yoji
教職歴16年目。同校に赴任して10年目。国語担当。「国語の学習を通じて、多様な価値観を受け入れられる生徒を育てたい」

森田裕
北海道大麻高校教諭
森田裕
Morita Yutaka
教職歴26年目。同校に赴任して7年目。英語担当。「生徒が海外への夢を育めるような授業をしていきたいですね」
   2/8 前へ次へ


【1】指導目標をシラバスに落とし込むには?
北海道教科会議
「バーチャル高校」であるべき
指導像を模索する
学校の枠を越えて始まった、シラバス作成の取り組み
 シラバス作成の重要性が高まる中、学校の枠組みを越えて教師が集まり、共同研究を行ってきたグループの一つが「北海道教科会議」である。同会が発足したのは、2001年4月のこと。以来2年間、北海道内の国語科、数学科、英語科の教師13人が年4回のペースで、シラバス作成の基本的考え方や具体的内容について討議を重ねてきた。研究は03年3月で一区切りがつき、5月中旬には関係者を招いて報告会も行われた。
 同会の取り組みの特徴は、シラバス研究に当たって、あるユニークな手法を採用した点にある。「1学年生徒数約300人、学校の平均点偏差値58~60、北海道大現役合格者数約50人」というバーチャル高校を設定し、その架空の高校のシラバスを国数英の教科ごとにつくっていくという形で研究を進めたのだ。同会の主要メンバーの一人である札幌北高校の定久敏明先生(数学科)は、そのねらいを次のように語る。
 「カリキュラムや生徒の学力は学校ごとに多様ですから、教師が自校の課題や実践を話していくという形では、議論が思うように積み重ならないという難点があります。そこでバーチャル高校を想定することにより、教師が共通の条件設定で話し合える場を設けたいと考えたのです」
 メンバーは、自校を離れ、バーチャル高校の一教師として研究に参加する。この体験は多くの教師にとって貴重なものになったようだ。札幌西高校の高松洋司先生(国語科)はこう語る。
 「全国の先進的な取り組み事例や、生徒の学力状況など最新の情報を入手した上で、メンバー間で議論を行いました。全国的な高校教育の流れを踏まえて、自分たちが目指す学校像、育成したい生徒像を明確にしたことで、その実現に向けてどのようなシラバスをつくるかという見取り図が持てるようになりました。自校の本物のシラバスをつくるための良い準備になったと思います」
 また大麻高校の森田裕先生(英語科)は、同会での活動を通じて「自分の担当以外の教科について関心を持つようになった」と言う。
 「自分の担当以外の教科が教えている内容については、どの先生もほとんど知らないのが現状です。しかし今回の会議で他教科とも共同で作業をしたことで、『国語科はこの時期にこんなレベルの評論を読ませているのか。それなら英語科も同じレベルの教材を与えることが可能だな』というような発想が生まれ、教科間連携の必要性を痛感しました。シラバス作成は、他教科の学習内容や到達目標を把握する上でも大切なものだと分かりました」
 
このページの先頭へもどる
   2/8 前へ次へ
 
このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。
© Benesse Holdings, Inc. 2014 All rights reserved.