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通話やデータ通信を超える携帯電話の新たな可能性
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価値創造のためには技術に裏打ちされた知識と戦略が必要
 これからの携帯電話産業は通話やデータ通信にとどまらない幅広い分野を視野に入れながら、これまでになかった新しいサービスの提供や新市場の創出をしなければならない。では、これからの携帯電話産業の発展に欠かせない視点と、求められる知識とはどのようなものだろうか。
 まず、技術系を想定すると、技術開発力・研究開発力が求められることは言うまでもない。現在の第三世代の技術は、ここ数年で第四、第五世代へと益々高度化され、開発のハードルはさらに高くなっていくだろう。どの分野でも同様だが、世界の最先端を走り続けなければ勝ち残れないのである。その競争に打ち勝つ知識と経験、思考力や行動力、精神力が求められる。
 また、技術系と言えども、ビジネスに関する理解は不可欠になる。独り善がりな技術開発・研究開発では役に立たないのである。インフラ整備を例にしても、通話時間と通話料金などのサービス内容を理解していなければ、最適なインフラ整備はできないだろう。
 しかし、技術力が優れているというだけで事業が成長するとは限らない。技術という土台を固めた上で、消費者のニーズを的確に捉えた事業戦略が必要になるのだ。特に、今後の携帯電話産業の方向性を考えると、世界視野での戦略が重要になってくることは間違いない。
 これまでの通信事業は国や地域の通信規格の違いによる参入障壁があり、なかなか世界進出をすることが難しかった。しかし、消費者のニーズに応えるためには、例えば世界各国で使える携帯電話サービスを提供しなければならない。そのためには、技術力の優位性もさることながら、通信規格の違いを乗り越える事業提携や企業間連携、時には投資や買収が必要になってくる。その際に、重要になってくるのが、財務、法務、そしてマーケティングやコミュニケーションなどのスキルなのである。
 世界に伍して戦える力がなければ、これからの携帯電話産業では生き残っていけない。現在は、通信規格によって世界的には劣勢にある日本の携帯電話産業だが、第三世代の技術では世界を一歩リードしている。この技術力を武器に、これからの巻き返しに期待したい。
 これからの携帯電話産業は、今まで以上に先の読めない時代を迎えることになる。そんな時代を生き抜く高校生には、既存の知識を「学ぶ力」と、未来を切り拓く「考える力」「行動する力」などをバランスよく身に付けることが、今まで以上に求められるのだろう。
 
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