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群馬県立中央高校は、現在、変革の過渡期にある。02年度SELHiの指定を受け、04年度には中等教育学校への改編も控えている。そして、00年度から始まった学校改革――。
同校が学校改革に着手した直接の理由を教務主任の小柴誠一先生は次のように語る。
「地域の進学校として実績を積み重ねてきた本校でしたが、教師の間からは『授業に対する覇気が感じられない』『指導はきちんとしているはずなのに、成績がなかなか伸びない』など、生徒の気質変化や学力低下を指摘する声が上がり始めていました。『従来の指導方法を見直す時期に来ているのではないか』という漠然とした思いはありましたね」
実際、教師たちの不安を裏付けるかのように、同校の生徒たちの学力も伸び悩んでいたのである。
そこで同校では03年度からの新学習指導要領の実施を見据え、00年度に『21世紀ビジョン委員会』を設置。抜本的な学校改革に向けた議論をスタートさせた。改革案作成に当たっては、まず、教師を全部で七つの小グループに分け、各グループごとに改革案を審議。そして、各グループから持ち寄った改革案を、21世紀ビジョン委員会において検討し、学校改革の方向性を模索していった。
そして、4か月あまりの議論の結果、同校の教師たちがたどり着いたのは、「教師一人ひとりの指導力の改善」という、教育の最も根本的な部分を問い直す結論だった。
「議論を通じて、新課程に向けたカリキュラム改革や、『総合的な学習の時間』の前倒し実施など様々な取り組みを決定しましたが、それらのベースとして確認したのは、授業1時間1時間の質を高めていくことでした。学校の教育活動には実に様々なものがありますが、何と言ってもその根幹は先生方一人ひとりが行う授業です。本校では『教育改革とは授業改革である』と認識しています」(小柴先生)
このビジョンに従って、早速、00年度から実施された取り組みの一つが「授業公開週間」である。授業公開といえば、保護者の授業参観などが一般的だが、同校のそれは一味違う。基本的に、公開週間中は「いつでも」「誰でも」校舎に入り、「すべての」授業を見学できるのだ。若林勝利校長はその意義を高く評価している。
「『授業公開週間』は年2回、6月と10月にそれぞれ1週間ずつ実施しています。その間、生徒の保護者や地域の方々に加え、県教委の指導主事や他校の先生方など、例年、350名前後の方に学校へお越し頂いています(
資料1
)。また、本校の教師も、期間中は互いの授業を教科の壁を越えて見学し合いますから、授業をする先生にとって、非常に良い刺激になっていると思います」
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