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新課程対応のアフターフォローを考える
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入試科目の変更に合わせ文系コースを細分化
 カリキュラムが決定して1年後の02年、同校は、カリキュラム原案では3年次まで同一カリキュラムにする予定だった文系コースの見直しを行った。カリキュラム作成に深くかかわった池田好夫先生は、その背景を次のように語る。
 「本校が毎年多くの卒業生を送り出している九州大が、文系学部のセンター試験で現代社会を必修とすることを発表したのです。しかし、従来の案では公民に対するフォローが十分ではなかったため、急遽、カリキュラムを見直しました」
 この見直しをきっかけに、同校では3年次から文系の生徒のコース分けを行うこととした。設置されたのは、広範囲な進路志望者に対応するための文系Iコースと、東京大、京都大をはじめとする難関大志望者のための文系IIコースである。文系Iコースでは地歴のいずれか1科目に重点を置いて受験学力の育成を図り、文系IIコースでは、あくまでも地歴2科目について、個別試験にも対応できる受験学力を身に付ける。このコース分けの最大の特徴は、文系Iコース、文系IIコースのどちらの生徒も、九州大受験が可能な点だ。
 「地歴の時間配分には差をつけていますが、現代社会については文系全員に必修としています。公立高校としての進路指導の在り方を考えた時、生徒の希望の多い九州大受験を、一つのコースに限定してしまうのには問題があると考えたのです」(池田先生)


理科3科目化を前提に動く理系IIコース
 一方、同校のカリキュラムの目玉である、理系IIコースの扱いについてはどうなのだろう。03年7月現在、医学部入試の理科3科目化を公表している大学は北海道大のみであり、ここへ来て、再度カリキュラム上の対応を見送る方針に転じた高校も少なくないようだ。だが、同校では今のところ「どちらに転んでもよい体制」を維持すべく、あくまでも理科3科目化を視野に入れて、カリキュラムを運用している。
 「もし、本当に北海道大しか理科3科目入試を実施しなかったとすれば見直しをするかも知れませんが、大学入試全体の動向を見極めるまでは、理科3科目化対応の看板は下ろさないつもりです。実際にコース分けが発生するのは2年次からなので、今年度中は静観します。また、理系IIコースは、あくまでも医学部の学生としてふさわしい資質を持った生徒を育てるコースですから、もし、理科3科目化対応を行う場合には、物理、化学、生物のどの科目も原則的にII分野まで履修させます。センター試験対応のみの授業は行いません」(池田先生)
 
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