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2学期制実施後、初の定期考査で成績下位層に影響が
 2学期制実施1年目の01年度、同校の教師たちはある課題に直面した。それは、定期考査1回当たりの負荷の増大が、予想以上に成績下位層の生徒に影響したことである。特に2学期制実施後、初めての定期考査では、これまで一夜漬けでクリアしてきた生徒を中心に、試験当日に体調不良で欠席してしまう者が1学年で10名近くに上った。
 「定期考査の範囲が広がったことを認識し、きちんと自学自習の習慣を身に付けることのできた生徒については、確実に成績が伸びるようになりました。しかし、01年度にはこの意識付けがうまくいかず、学習のペースをつかみ損ねた生徒が多かったのも事実です」(奥田先生)
 こうした事態を受けて問い直されたのは、定期考査後の補習の在り方であった。同校では以前から、定期考査で成績が不振だった生徒には補習を課し、試験範囲の学習内容を再度定着させた上で再考査を行ってきた。だが、補習に充てられる時間が01年度以降増えたわけではない。したがって、今までと変わらない補習時間の中で、より多くの内容を扱わざるを得なくなってしまった。
 「特に1、2年次の学年末の補習は厳しい状況になりました。この時期は本校の入学者選抜と重なるため、01年度には、本来は1か月は掛けて教えたい内容を、実質1週間足らずで教える教科もありました。教師の間からは『これでは生徒の学力定着が図れない』という声が相次ぎました」(奥田先生)
 また、十分な時間を掛けて補習が行えなくなったことで、再考査の問題のレベルも落とさざるを得なくなってしまった。結果「再考査を受ける方が楽」と判断する生徒が増えてしまったことも事実である。
 そこで、同校では、02年度から学期末の補習と再考査の実施を、思い切って次年度に持ち越すこととした。
 「生徒の仮進級に伴う事務的な負担は大きくなりますが、それよりも、しっかりと補習時間を設けることを優先しました。また、成績不振者を早期に見つけるために、教科によっては夏休み前の平常考査に加え、独自に前期プレ考査を実施したり、必要な場合は個別補習を行うようになりました。こうした対策が02年度中に確立したことで、03年度は特に問題は起きていません」(野口先生)
大手前高校03年度生カリキュラム
 
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