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生徒の声を受けて、部活終了時刻、夏休み補習を見直す
同校が02年度以降の対応を進める上で一つの指針としたのが、02年に行われた学校評価に伴うアンケートであった。集約された生徒の意見の中でも、同校は「学習と部活の両立が難しい」「授業に対する満足度が低い」という二つの課題に着目した。まず一つ目の学習と部活の両立の問題について、柴田教頭はこう語る。
「時間割が変わり、終業時刻が延びたため、部活の開始時刻が以前よりも遅くなりました。にもかかわらず、部活の終了時刻は以前と同じ設定になっていたため『平日に十分な活動ができない』という声が高まっていました。結果として、土日の部活の時間が長引いてしまい、週末の学習時間が圧迫されたのです」
そこで同校は部活の終了時刻を午後6時、自習室の開放時刻を午後7時までと、それぞれ1時間ずつ後ろ倒しにした。
「部活動は年間計画に基づき、平日にしっかり行い、週末は自学自習に充ててほしいと考えました。生徒には、あくまでもバランスよく文武両道を追求してほしいですから」
一方、授業時間数の減少を補うため、同校では03年度より夏休みの補習の見直しも行われた。
「以前から補習は実施していたものの、教師個人の『自主開講』というスタイルを取っていたために、同じ時間帯に似た内容の講座が重複していたり、補習開講の告知が遅れて、予備校の夏期講習を優先する生徒が出てしまっていたのです。そこで今年度から、補習と言えども、毎日きっちり90分×4時限の時間割を組んで実施すると共に、開講予定についても5月の時点で生徒に告知するようにしました。『学校として生徒の面倒をどれだけ見ようとしているのか』というメッセージが、生徒にも伝わったのではないかと思います」
シラバスを作成し、授業の質に教科で責任を持つ
もう一つの課題である授業満足度の低さについても検討された。
「夏期補習の見直しに伴って、授業と補習の機能分担が改めて課題になりました。本校では長期休暇中に限らず、放課後に補習を開講している教師が多いのですが、まずは、肝心の授業の内容を充実させる必要があるという共通理解を得ました」
そこで、同校では02年度中に「シラバス研究委員会」を設置。03年度に向けて、すべての科目についてシラバス作成が進められた。
「授業は授業として、きちんと学力保証ができる内容で完結させる。補習はあくまでも+αでなければならない、という意識を徹底しました。また、生徒による授業評価も03年度から実施し、継続的な授業改善に生かしています」
授業評価は7月と12月に行われる。取材時はまさに、7月の分析結果の集計中であったが、「内容は良いが、教え方が効率的でない」といった意見や、「このアンケートの結果が本当に授業改善に生かされるのか疑問」といった厳しい意見など、多数寄せられていた。だが、柴田教頭は、そうした意見も包み隠さず、全教師に伝えると言う。
「今までは、授業改善と言っても、あくまでも各教師が個人レベルで取り組むスタイルでした。しかし、シラバスの作成によって、授業の質については教科全体が責任を持つ、という体制に変更できると考えました。厳しい意見も伝えていくことは、各教科がチームとして授業改善に向かうことにもつながるはずです」
また、02年度より同校は、一部の授業で到達目標(習熟度)別の少人数授業を導入するなど、授業のシステム面での改善も図っている。授業評価には、それらに対する意見集約の機能も期待されているのだ。
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