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岡山大教育学部教授 |
高塚成信
Takatsuka Shigenobu
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2003年5月下旬、全国のSELHiが一堂に会して、取り組みの進捗状況や成果を確認する連絡協議会が文部科学省主催で開かれた。同協議会では、各校の取り組みに関する方向性、課題等について様々な話し合いが持たれたが、中でもクローズアップされたのが、教育の効果検証についてだった。
この課題を受け、今号では岡山大教育学部の高塚成信教授と近畿地区のSELHi4校の先生方にお集りいただき座談会を実施した。以下、座談会における高塚教授の基調講演と、座談会で討議した各校の取り組みを振り返りながら、英語教育の評価方法の確立、取り組みの効果検証の在り方について考えていきたい。 |
-基調講演より
効果検証を見据えてR-PDCAの再構築を |
SELHiのねらいは、生徒の英語力を伸ばすための効果的な実践手法を開発し、日本の英語教育全体の底上げを図ることにある。そのため、文部科学省は指定校に対して特別に予算を割り当て、英語教育の開発を後押ししている。その開発の成果次第では、指定取り消しもあり得ると示唆しているようだ。
それだけに、SELHiには各校が実践する教育手法がどの程度、生徒の英語力を伸ばしているのかを、客観的に証明する効果検証が求められている。さらに、効果検証の結果導き出された指導方法を、他校が応用できるように標準化していく役割も期待されている。
教育の効果検証には二つの側面がある。一つは、生徒の能力の伸びを具体的数値として把握するための評価方法の確立、もう一つはどのような取り組みが生徒の能力を伸ばしたのかという「取り組み自体」の効果検証である。SELHiにとっての効果検証には、この両者が求められる。
しかし実際には、準備段階において効果検証までを見越した実施計画を策定し切れていない高校も多く、それが実践や後の検証を中途半端なものにしている例も見受けられる。某SELHiで運営委員として助言を行っている高塚教授は、「しっかりとした効果検証を行うには、評価までを見越したプランを立て、R-PDCA(調査→計画→実行→点検・評価→修正)サイクルを実践していくことが大切」と述べる。
「まず、生徒の英語力の実態を把握するところから始め、問題点があればその解決に有効な計画の策定を行います。例えば、全体的にスピーキングの技能が伸び悩んでいるのであれば、英語使用の機会を拡大するという大まかな方針を立て、それに基づいてディベートやスピーチコンテスト、イングリッシュ・キャンプなどの具体的な計画を策定することができます。その際、指導・評価のシラバスを作成し目標設定、評価基準を明確にしておくと実行段階がスムーズに進みます」 |
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