ベネッセ教育総合研究所 ベネッセホールディングス
英語教育における新しい評価の在り方について考える
山岡憲史
滋賀県立米原高校教諭
山岡憲史
Yamaoka Kenji
教職歴26年目。同校に赴任して6年目。
英語科担当。
「何事にも失敗を恐れずに挑戦することで成長を促すよう努力しています」

近藤泰城
三重県立川越高校教諭
近藤泰城
Kondo Yasuki
教職歴21年目。同校に赴任して14年目。
英語科担当。
「『顧客の満足度』を意識した学校運営を心掛けていきたいですね」

味村昌彦
和歌山県立星林高校教諭
味村昌彦
Mimura Masahiko
教職歴20年目。同校に赴任して3年目。
国際教育部・英語科担当。
「生徒が学ぶ楽しさ、人生の喜びを味わえる授業を目指したいですね」

汐崎澄夫
京都私立・立命館宇治高校副校長
汐崎澄夫
Shiozaki Sumio
教職歴26年目。同校に赴任して9年目。
「生徒が『Aim high 志高く学べ』の気概を持って学校生活を送れるよう、指導していきたいと思っています」
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座談会より
3種類の方法でスピーキングの伸びを測る
 今回の座談会では、SELHiにふさわしい先進的な取り組みがある一方、英語教育の基本に立ち返った取り組みも見られ、各校、白熱した議論が展開された。
 中でも、滋賀県立米原高校が03年度から実施しているスピーキングテストは、実施形態の面でも、また評価方法の面でも座談会参加校の注目を集めた。
 同テストはA、B、Cの3つの部屋を用意し、各部屋のテーマに応じた内容を英語で話すというものだ。Aは日常的なことをしゃべる部屋、Bはロールプレイの部屋、Cはディベートの部屋として、生徒はA、B、Cの各部屋を順に回っていく。これを放課後、毎日約10人の生徒を対象に実施するのである。同校の山岡憲史先生は、次のように述べる。
 「各部屋に二人の教師を置き、一人は面接、一人は評価を担当します。個人の英語力の伸びに関しては、生徒のしゃべる文章がどれくらい長いか、使っている構文がどれくらい難しいかなど、様々な側面から測定し、半年後に実施する同テストと比較して英語力の伸びを測ります」
 生徒の英語力が伸長する背景には、学校での取り組みの他にも様々な要素がある。例えば、授業とは別に英会話のCDを聞いていたり、TVやラジオの講座を聴講していたりと、個人によって学習経歴は異なる。また、発音を褒められた、あるいは英語を使うことそのものに喜びを感じるようになった、といった情意面からの自信の深まりが、スピーキングの上達に結び付く例も少なくない。
 「どの取り組みによって英語力が伸びたのかという学校内での生徒の学習経歴を記録していくことはもちろんですが、学外における学習経歴や情意面の経験についても把握し、多面的に生徒の英語力の伸びと学習との相関を測っていきたいですね」(山岡先生)


情意面の変化に学力向上の要因を探る
 生徒の多面的把握の事例として、三重県立川越高校ではアンケートによって取り組み全体の評価と共に、生徒の情意面の調査を行っている。同校では、学習意欲を高め自ら学ぶ意志を持った「自立した学習者」になることが、英語力向上につながるとして、生徒の意欲や関心、達成感といった情意面の変化に着目した。
 そこで、同校では各取り組みに対する生徒の学習意欲の変化や達成感の有無などをアンケートにより把握し、そのデータを分析することで授業が効果を上げているかどうかを判定している(資料2)。
資料2
 「生徒の理解度といった認知面や意欲など情意面に関するアンケートは、生徒の学習に対する理解度やモチベーションの高低を測るには効果的な方法だと思います。ただ、生徒が本当に『自立した学習者』になるためには、時期ごとの到達目標を明確にし、その目標に達しているかどうかを生徒自身がチェックできるような仕組みが必要です。そうすることで、評価基準もはっきりしますし、生徒の意識啓発やモチベーション向上にも効果があると思います」(近藤泰城先生)
 各学年における到達目標の明確化については、同じく座談会に出席した和歌山県立星林高校も今後の目標に据えている(本誌4月号参照)。
 星林高校は、今回の座談会参加校で唯一、中高連携に力点を置いてSELHiの諸活動を実施している高校だ。同校は、公立高校としては初めての国立大付属中学校との中高一貫教育を進めており、SELHiの取り組みにおいても、6年間一貫した英語教育の在り方を模索している。同校の味村昌彦先生は、次のように述べる。
 「6年間の最終的な目標や各学年における到達目標の策定、シラバスの作成などについては今後、専門の研究者のアドバイスを取り入れながら進めていきたいと思っています。中高一貫のSELHiとして、6年間における各段階の目標を明確に定めると共に、高大連携についても強化を図り、中学校から大学までつながるスタンダードな実践手法と評価方法を提示していきたいですね」
 
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