ベネッセ教育総合研究所 ベネッセホールディングス
全教師による指導体制で生徒の希望進路実現を目指す
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 下妻第一高校は、茨城県西部を代表する進学校である。国公私立を合わせた大学現役合格率80%以上は9年連続。特に、近年は目覚ましい伸びを示しており、03年度入試では初めて国公立大現役合格者が100名を超えた。
 その躍進をもたらしたきっかけは、公立進学校が共通して抱いた「危機感」にあった。
 近年、近接地域の多くの公立高校が定員割れの事態に直面した。背景にあったのは、同地域の私学の台頭である。これらの私学は地元国公立大から首都圏私立大に至るまで、生徒の多様な大学進学ニーズに対応したコース制を導入するなど、学校の特色化を打ち出してきた。中には、優秀な生徒を確保するため様々な特待制度を設けている学校もある。同校では、地域に「公立離れ」のイメージが先行してしまうことを恐れた。
 1学年主任の小山茂先生は、次のように述べる。
 「近隣校が次々と定員割れに直面したことは大きなショックでした。この時、本校のすべての教師が、本校を含めた公立進学校の将来に危機感を抱いたのです」
 周辺地域には塾や予備校が少なく、伝統的に学校の指導に対する期待は強い。私学が台頭する中で生徒の流出を防ぎ、保護者と生徒の期待に応えて地域からの信頼を呼び戻すために、手厚い指導を行い合格実績を上げていくことが課題となったのである。


改革に当たって、
同校では特別な分掌を設けることはしなかった。また、管理職主導のいわゆる「トップダウン型」の改革にもならなかった。全教師が足並みを揃え、学校を挙げて改革に取り組んだのである。教師全員に「公立進学校の危機」という意識が共有されていたことが、教師を一致団結させたのだ。改革に際しては、中堅教師の間で様々な話し合いが持たれたが、その中で改めて確認されたのが「あらゆる指導を教師の全員参加で行う」という同校の指導スタンスだった。2学年主任の杉田幸雄先生は、次のように述べる。
 「誰かの反対意見によって、取り組みが頓挫するということはありませんでした。すべての教師が、学校を良くするためには、皆が協力し合わなければならないということを分かっているのだと思います。時には、反対意見も出ますが、決まったことは皆で実行するというのが本校のスタンスです。そこで、何よりもまず全員参加の体制を徹底させようということになったのです」
 例えば、小論文指導。2年生では1か月に1回、1つのテーマについて小論文を提出させる。それをクラス担任だけに負担が掛からないよう学年の教師全員でローテーションを組んで、添削指導に当たる体制を整えている。
 また、課外授業の充実も図った。1、2年生の場合、毎週火・水曜日の放課後は課外授業に充てられ、その時間は部活動を中止し、全生徒が課外授業に参加する。3年生は月~金曜日までの毎日。その他、夏季・春季(2年生のみ)休暇の課外授業はもちろん、月2回の土曜補習も実施している。低学年の課外授業は国数英が中心だが、3年生の課外授業は5教科を実施する。土曜補習は家庭科や体育科も含めて、全教科・全教師による指導体制が組まれている。
 進路指導部の風間一朗先生は、次のように述べる。
 「部活の顧問の先生にもお願いして全員参加の体制で課外授業に臨んでいます。課外授業や土曜補習については、普段からその大切さを説いているため、ほぼ100%が参加しています」
 
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