ベネッセ教育総合研究所 ベネッセホールディングス
カウンセリングの手法を用い生徒の自己肯定感を育む
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 学校教育にカウンセリングの手法を取り入れる――。
 「総合学習」において、こんな個性的な取り組みを実施している学校がある。雄物川高校では、2001年度からカウンセリングの手法を応用した総合学習「PASSCAL TIME(パスカルタイム)」を実施している。例年、同校は就職希望者が多く、生徒の約7割が就職を希望し、4年制大学への進学率は1割程度。こうした学校だけに「進学校にはない悩みも多かった」と進路指導主事の清水達也先生は指摘する。
 「以前、私は県内の進学校で教鞭を執っていたのですが、6年前、本校に赴任して生徒の気質の違いに驚かされました。進学校の生徒には進学という目的がありますから、ある程度教師の言うことを聞いてくれます。しかし本校の生徒には主体性が乏しく、進路についても『誰かが決めてくれる』といった受け身な態度が目立ちました。精神的に未発達な生徒が多く、人に認められる体験も少ないため、自己肯定感が低いのだと思います」
 00年、淡路亜津子先生は「総合的な学習の時間小委員会」の一員として、生徒の実状に合った取り組みを模索していた。そんな折、県の教育センターの研修で、東京成徳大の國分康孝教授の提唱する「育てるカウンセリング」に関する講演を聞いたのである。
 「講演の中で『集団の教育力』というお話があったのですが、それを聞いたとき『これだ!』と感じました。集団の中で他者を認め、他者から認められることで、集団における自分の役割を自覚していく。この手法なら、本校の生徒指導にも効果があるかも知れない。生きる力を育てる『総合学習』にも通じると思い、早速小委員会に提案したのです」
 この提案は受理され、同校では00年度後半から、「総合学習」でどのようにカウンセリングを取り入れるのか、実践内容を検討。01年4月、パスカルタイムはスタートを切った。
 
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