ベネッセ教育総合研究所 ベネッセホールディングス
生徒・教師・外部の評価を教師の指導力向上に生かす
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1)授業の公開に関する取り組み
中、高、大学の三者が集う公開授業週間の設定
 同校がまず着手したのは、個々の授業の質を上げるべく、公開授業を実施することであった。教師同士が互いの授業を見合うと共に、9月には大学の教員を学校に招いた授業参観を実施。10月には近隣の中学校に出向いて授業見学も行なった。そして、これらを受けた11月の公開授業週間では、中、高、大学の教師・教員が一堂に会した協議が行われた。
 「公開授業は昨年度末に現校長が提案したもので、現在はフロンティアハイスクール事業の中核となっています。全く立場の異なる三者の協議会については、最初は想像がつきませんでしたが、高校の授業を相対化したり、中、高、大学を貫く学力や教材を模索する視点なども、少しずつ見え始めたと思います」(浅川先生)
 数学担当として、自分自身の授業を公開した高塚諭先生は、三者が集まって話し合った成果を次のように語る。
 「授業の進行の仕方や黒板の使い方といった観点では、概ね良い評価を頂くことができたと思います。しかし、発表やグループワークを多用したスタイルで授業をされている中学校の先生からは『知識を習得させるのは重要だが、生徒に主体的に頭を使わせる時間がもっと必要』といった意見も頂きました。また、大学の先生からは『同じ問題を扱うにしても、わざと最後まで解かずに、生徒に振るようにすれば、考えが深まるのではないか』という意見も頂きました。一つの授業を介して、中、高、大学が互いの意見を交換できる貴重な場になったのではないかと思います」
 また、国語担当の後藤佐登美先生は、9、10月の公開授業の経験が授業を改良していく上で、大きな効果があったと語る。
 「10月に中学校の先生が強調されていたのは、『国語の授業は考える、話し合う、練り上げるというプロセスを入れてこそ良い授業になる』ということでした。そこで、11月の公開授業では、ALTを相手に、生徒に『足を洗う』といった日本語独特の表現を、別の言葉に置き換えて日本語で説明させる授業を行いました。また、ALTにも授業の最後に、同じ言葉を英語で言い換えてもらいました。国語という教科の枠組みを越えて、生徒が『ことば』の意味や機能について深く考える授業になったのではと思います」
 
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