ベネッセ教育総合研究所 ベネッセホールディングス
生徒・教師・外部の評価を教師の指導力向上に生かす
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2)授業の反省を行うための取り組み
生徒・教師の意見を吸い上げ授業改善に還元する
 公開授業の折に、同校は生徒による授業評価も実施した。特に11月の公開授業週間には、授業に対する具体的な改善ポイントをアンケートで集約した。研修主任の俵芳郎先生は、その意義を次のように評価している。
 「生徒による授業評価については意見の分かれるところですが、本校では生徒が真面目な気持ちで意見を寄せてくれるよう、事前の趣旨説明と意識付けを行った後にアンケートを配付しました。集計結果は、初年度でもあり非公開としましたが、授業改善に生かせるような意見が多数寄せられました」
 一方、生徒による授業評価と並行して、教師相互の授業評価も行われた。基本的には生徒に配付したものと同様のアンケートを利用した意見集約が試みられた。だが、こちらについては、課題を残す部分もあったようだ。日程的な問題もあり、他の教師の授業を見る時間が取れない教師がいたことや、同僚の授業に点数を付けるという点で、抵抗感を持つ教師が少なくなかったのだ。
 「授業を互いに見せ合うだけの時間の確保や、評価方法については次年度に向けてさらに改善していきたいと思います。しかし、実施上の問題点はあったものの、授業評価の必要性そのものについては共通理解が得られたと思います。実際、事後のアンケートによれば、全回答数のうち73%が次年度も同様の取り組みを継続する必要性を認めています。現在、公開授業週間の延長や、アンケートの自由記述欄の充実などを検討しています」


3)授業の改良に向けた取り組み
改善点の明文化とシラバス作成の推進
 以上のように、同校では内外の意見を取り入れるための多様な施策を行う一方、寄せられた意見を確実に授業に反映する施策も準備している。例えば生徒による授業評価の直後には、各教科で話し合いが行われ、授業改善の方針が各教科の責任の下、文書として提示された。さらに、各教科におけるシラバス作成が03年度から本格的にスタートしており、年間を通じた授業計画の体系化も進められている。各教科内でも授業改善に向けた教師同士の話し合いが活性化しつつある。
 「数学科では『授業の進度が速すぎる』という生徒の声を受け、授業内容の精選と配列の研究を隔週の教科会で行っています。完全週5日制の対応として、週末課題の与え方を本年度の研究課題としていますし、シラバスを基に扱う問題の質量の調整と共に、改訂も進めています。共通理解を持つことが問題解決につながっていると思います」(高塚先生)
 先行してシラバス作成を行った5教科については、既に「入学の手引き」にその内容を掲載している。次年度は新課程2年次までのシラバスを公開する予定だ。
 
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