ベネッセ教育総合研究所
大学改革の行方 変わる高等教育
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Chapter2 高等教育の在り方はどう変わるか

専門職大学院の拡充で大学院段階の学歴は多様化
――法科大学院の設立をはじめ、高等教育は近年、大きく変化しています。専門職大学院も次々と設置されていますが、専門分野に特化した大学院の在り方は、今後どのように変わってくるのでしょうか。
 経営や行政など一般的な専門職大学院については、専門職大学院として独立した大学院をつくるか、既存の大学院に専門職養成コースをつくるか、この二つに大きく分かれていくと思います。独立した大学院として設置されているところは、まだそれほど多くはありません(図3)
図3
一方、専門職養成コースを設置する大学院は、今後増える可能性があります。例えば、半年間企業から研修に来るとか、公務員の研修に行政大学院のコースを利用するといったことが考えられます。勉強をし直したい社会人のニーズに応えるには、必ずしも大きな専門職大学院を立ち上げる必要はありません。そういう意味で、今後は大学院レベルの学歴の多様化が進むと思います。
――法科大学院やメディカルスクールなど、高度な専門職大学院の設置認可も話題になっています。
 専門職大学院の課題は2点あります。一つ目は、キャリア形成が見えないこと。例えば、MBA資格取得者の就職(キャリアルート)が、日本では今のところ乏しい。二つ目は、国私の学費格差です。
 その中で法科大学院は、法曹職という特別な職業を対象としているので、かなり特殊な例だと思います。これから、司法試験に合格できる力を持った学生を獲得するための競争が激化するでしょうが、そのための奨学金制度は、大学経営には非常に重荷になるでしょう。また、メディカルスクール、デンタルスクールについても近い将来、実現すると思います。医師国家試験は受験者がある程度限られるので、自由競争の余地が少なく、法科大学院よりも設置はスムーズに進むでしょう。ただ、医学系の進学課程とメディカルスクールの接続をどうするかは今後詰めていかなくてはいけない課題だと思います。
 また、薬学部の6年制化については、医学部との連動性を高めるためだと言われていますが、むしろ時代に逆行していると思いますね。学部教育で基礎研究の力を身に付け、進路決定はその先の大学院で行うという方が現実的ではないかと思います。


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