ベネッセ教育総合研究所
シラバスの活用 家庭学習習慣を身に付けるシラバス

●埼玉県立大宮高
1927年(昭和2年)設立。
普通科、理数科を設置する男女共学校。
03年度入試では東京大4名、東京工大8名、筑波大10名など国公立大に125名、早稲田大、慶應義塾大など私立大に延べ969名が合格。
URL:http://www.ohmiya-h.spec.ed.jp/

平野 正美

埼玉県立大宮高校教頭
平野 正美
Hirano Masami
教職歴22年目。同校に赴任して1年目。「常に前向きな気持ちで生徒に接するよう心掛けています」

嶋中 恵子

埼玉県立大宮高校
嶋中 恵子
Shimanaka Keiko
教職歴28年目。同校に赴任して2年目。教務部。英語担当。「日々の指導を通じて、社会で役立つ人材を育てたい」

原 浩明

埼玉県立大宮高校
原 浩明
Hara Hiroaki
教職歴17年目。同校に赴任して8年目。進路指導主事。英語担当。「高校生活が将来のステップになることを伝えたい」

丸山 晴子

埼玉県立大宮高校
丸山 晴子
Maruyama Haruko
教職歴20年目。同校に赴任して3年目。国語担当。「社会で役立つ人間、社会に求められる人間を育てたい」

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事例1 埼玉県立大宮高校
運用面にも生きる「生徒本位」の発想


完全週5日制を機に作成したシラバス
 大宮高校は、完全週5日制がスタートした02年度よりシラバスの運用を開始した。生徒・保護者へのアカウンタビリティの確保や授業改善の推進に加え、何より生徒の自学自習習慣を確立することがそのねらいであった。
 「本校では01年度より、時間確保の面では65分授業に、授業改善の面ではシラバスづくりに着手しました。その際に意識していたのは、今以上に学力を伸ばすには、授業進度を踏まえた上で、自ら学習に向かう生徒を育てなければならないということでした。生徒も教師も真剣勝負で授業に臨むことが必要だと考えました」(平野正美教頭)
 同校の具体的なシラバス活用の状況を、以下で詳細に見ていきたい。


1 家庭学習の方法を教科特性に応じて明示
 まず、同校のシラバスのフォーマットに注目してみたい。教科特性によって多少の表現の違いはあるものの、基本的にはすべての教科が
(1)授業の目標
(2)評価の方法
(3)年間の授業計画
(4)学習法(家庭学習)
の欄を設けている。特に学習法の欄は自宅学習の進め方からノートの取り方まで示した詳細なものとなっている。例えば、国語(古典)のシラバスでは、「予習中心の学習を心掛け、本文はノートに写し、品詞分解をしてくること」「単語の意味を調べ、本文を口語訳して授業に臨むこと」というレベルまで落とし込まれている。
 「国語科では、シラバス作成に際して、単元の配置から根本的に授業計画を見直しました。古典文法を一通り習得する時期を2年次終了時とし、1、2年次をそれぞれ4期に分け、助動詞や敬語表現などが段階を追って学習できるように、学習時期を適切に配置しました。それに合わせ、どの時期にどんな学習をしてほしいのかを国語科内で話し合い、できるだけ具体的に示しました」(国語科・丸山晴子先生)
 一方、年間の授業進度を示した欄には、単元ごとの予復習の内容をさらに詳細に示した「家庭学習」の欄が設けられている。ここでは、各時期、単元に応じた発展学習の方法が示され、例えば国語の現代文においては、随筆、評論、小説といったカテゴリーに応じて「筆者の他の作品を読む」「作品が成立した背景について学ぶ」「感想文を書く」といった学習法が示されている。「予習→授業→復習というサイクルと共に、それぞれのステップでどのような学習をすべきなのかをつかんでほしい」(丸山先生)という思いが、このようなスタイルには反映されている。
 その成果は着実に実を結びつつあるようだ。以前は「予習の仕方が分からない」と言う生徒が多かった現代文についても、最近はシラバスを見て学習している生徒が見られるようになってきたという。
図2
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