ベネッセ教育総合研究所
シラバスの活用 家庭学習習慣を身に付けるシラバス

●福岡県立修猷館高校
藩校を源流に持つ普通科共学校。
全校生徒数1211名。
03年度入試では東京大15名、京都大13名、九州大129名など国公立大に283名が合格。私立大では早稲田大、慶應義塾大などに延べ488名が合格。

URL:http://shuyu.fku.ed.jp/

荒神 一臣

福岡県立修猷館高校
荒神 一臣
Koujin Kazuomi
教職歴25年目。同校に赴任して17年目。教務主任。数学担当。「生徒と同じ目線に立って、一緒に感動していきたい」

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事事例2 福岡県立修猷館高校
生徒の活用度向上を目指した年次改良


作成以後も、毎年続けられる改良作業
 修猷館高校では、「生徒が自学自習に生かせる」シラバスづくりを00年度から一貫して進めてきた(本誌02年10月号参照)。以来、フォーマットの改良は毎年のように進められている。03年度に加えられた改良とそのねらいを、教務主任の荒神一臣先生にうかがった。


1 「ノートの取り方」欄で学習方法を詳細に示す
 同校のシラバスでは、従来から「予復習の仕方」や「授業の受け方」など、学習の細かな方法論に関する情報が充実していたが、03年度からは特に必要性が高いと思われる科目について「ノートの取り方」欄が新設された。各教科が教科特性に応じた記述を行っており、例えば数学では「余白を十分取ったノートづくりをする」というレベルにまで具体的に落とし込まれている。


2 学習目標の設定と、定期テストの見直し
 どの単元をいつ扱うのか…という情報を示しただけでは、授業進度表としての役割しか果たせない。そこで同校のシラバスには、各単元で生徒に身に付けてほしい力も明示されている。単元ごとの学習目標が明示されることで、生徒が学習方法や学習成果を検証できるようになったことはもちろんだが、教師にとってもこの欄の新設は大きな意味があったようだ。
 「授業1時間ごとの進め方に加え、定期考査を『学習到達度を測る指標』として捉える意識が高まったと思います。本校の先生方は、教えたことを基本としつつも、その知識を応用する力を問う問題を多くつくる傾向にあるのですが、あまりにも難しい問題で、しかも、平均点も低いテストになっては、授業を通じて生徒が『押さえるべき』力を身に付けたかどうかが判定できません」
 すなわち、シラバスによる学習目標の明示が、授業の質の確保、定期考査の見直しにつながったのである。同校ではこうした気付きを生かすべく、定期考査の度に各教科の平均点を調査し、極端に低い教科については、作問レベルの改善を教務から要請している。


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