ベネッセ教育総合研究所
VIEW'S REPORT 日本・韓国・中国の高校生の英語力
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3か国に共通する将来展望の意識

 図8は、将来展望に関する調査項目を「A・夢(イメージ的な目標)」「B・志(なりたい自分)」「C・当為(なるべき自分)」の3つに分類し、図7の進路意識の発達8段階とクロスさせて作成したものである。
図8
 3か国に共通した特徴は、「自分らしさ」がつかめる「5探索」の段階に到達して、将来展望が自分の可能性を踏まえて描けるようになると「学び」の目標が具体的となるため、急に調査項目への肯定度が高まる点である。
 また、「6希望」をピークにして「7早期完了」「8達成」の段階に達すると、現実社会と自分の希望を調整する必要性に迫られる。そこで自分の希望(大学進学)に近付くためには、大学で求める学力水準をクリアしなくてはならなくなり、能力不安と対決せざるを得なくなるため肯定度が低下するが、この点も共通している。
 目標が定まる「5探索」以上の発達段階に限って3か国を比べてみると、「A・夢」と「B・志」の場合には全体として大きな格差は認められないが、「C・当為」の肯定度は中国が高く日本が低い。
 中国の「C・当為」は、「A・夢」のレベルとほとんど同一水準にあり、日本・韓国とは明らかに異なっている。このことは、社会体制や価値観の違いを反映しており、人は人との関係の中で人間として成長することを示すと共に、子どもたちの将来展望に関わる自己概念はその国の大人世代の価値観を反映していることがうかがえる。


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