ベネッセ教育総合研究所
VIEW'S REPORT 2004年度個別学力試験を読み解く
松畑熙一

岡山大理事・副学長
松畑熙一
Matsuhata Kiichi
1940年生まれ。
広島大大学院英語科教育学専攻終了。
岡山大教授を経て現職。全国英語教育学会会長。

新里眞男

富山大教育学部教授
新里眞男
Niisato Masao
1948年生まれ。
東京教育大(現筑波大)附属高校教諭、文部省(現文部科学省)教科調査官等を経て現職。

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英語
「分かる英語」から「使える英語」の力を測る出題へ


使うための英語力を問う出題が増加
 ここ数年の英語の個別学力試験の最も大きな傾向は、全般的な出題傾向が使うための英語力を問うものに変わりつつあるということである。図1に示したのは国立大の前期個別学力試験の分野別出題状況の変化であるが、英作文など「表現」に関わる出題が増加していることが分かる。
図1
新学習指導要領が日常的な場面での英語運用能力の向上を重視しているのは周知のことであるが、昨今の大学入試が、基本的にこの流れに乗りつつあることは確かなようだ。富山大の新里眞男教授は、「この流れは既に多くの大学で定着しているはず」と強調する。
 「『国際社会で活躍できる人材』の育成を掲げる以上、大学側でも『読む』『書く』『聞く』『話す』という英語の4技能をバランスよく見ることができる問題を出題しようという意識が高まっています。センター試験は、読解力だけでなく、文法や語彙、語法といった、細かな言語知識を問う問題も比較的多く出題されますから、個別試験で表現力を重視する流れは今後も続くのではないでしょうか」
 では「使える英語」の力を問う出題とはどのようなものなのか。一般的には、リスニングや自由英作文などが思い浮かぶが、その傾向は、読解問題等も含めた、各大学の個別学力試験の内容全体に表れているという。
 「読解問題では、身近なテーマでまとまった分量の英文を素材として取り上げる傾向にありますし(図2、3)、英文和訳の問題においても、構文として難しい一文を切り取って訳させるのではなく、全体の文脈の中で『キーセンテンス』になる部分を訳させる出題に切り替わってきています。難しい単語の脚注や設問文を英語で示すなどして、英語で英語を理解し、読み解いた内容を表現する力を問う出題が徐々に増えていると思います」(新里教授)
図2、3


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