(3)理科(生物) ------------------------------------------ |
理科・社会科は、特に出題内容の変化が大きい。中でも理科は、国が掲げた今後の4大重点分野である「材料・ナノテクノロジー」「生命科学」「情報」「環境」のうち三つに大きく関わっている。これらの先端研究を目指す理科系に主に課される教科だけに、最近の変化は全教科の中で最も大きい。 |
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図11は、理科を代表して生物を取り上げ、大学がどのような力を求めるようになっているのかを模式的に示したものである。図の左側は大学入試センター試験について5年前までの問題と、現在の問題で設問の狙いを比較したものである。5年前までのセンター試験「生物」の問題は設問全体の7割が知識で解答できるものだったが、現在は4割程度にまで下がっている。その分問題文の読解力やデータの解釈力があれば解答できる設問が6割を占めるようになった。
この傾向は個別試験では更に顕著である。要求学力は、複数のテキストやデータなどを解釈させる広義の読解力や推論力、そして自分の考えをまとめる論述力が求められ、知識だけで解決できるものは少ない。また出題テーマも大学の専門領域で取り上げられている現代的なものが多く、もちろん教科書で扱われていないものもある。このような出題になると、一般に問題文が長く、初見のものが多くなるため体感難易度は上がる。生物の場合、旧帝大や医学部だけでなく、実は上位の地方大学までこの傾向は広がっている。
こうしてみると、前章の総合問題や小論文だけでなく、教科・科目別の問題も複数の文章比較や資料・データの解釈を含めた読解力、推論・発想力、論述力などを見る問題の比率が高くなっていることが分かる。 |