ベネッセ教育総合研究所
VIEW'S REPORT 未来を模索する単位制高校
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公立進学校としてあるべき道を歩みたい
 以上、浦和高校の取り組みを概観してきたが、そのいずれもが、決して奇をてらったような手法ではないことが分かる。むしろ、幅広い科目履修による知的バックボーンの強化や、知的触発を重視した授業改革などは、学校教育の理念に極めて忠実なものである。「全人教育の実現と進学実績回復の両立」という理念があるからこそ、学校改革がこのような形で結実したと言えるだろう。
 事実、単位制の導入以降、一時は低迷した浦和高校の進学実績は、徐々に上昇傾向に転じつつある。また、海外の大学へ進学する生徒が出たり、部活動においても全国大会出場者が毎年輩出するなど、浦和高校は着実に活性化への道を歩みつつあるようだ。そんな浦和高校の今後のビジョンについて、長谷川先生は次のように語る。
 「旧態依然たる指導体制でも、受験特化型の指導体制でもなく、公立高校としてあるべき全人教育と進学実績の両立を目指すことこそ本校の目標であると考えています。一連の改革に携わってきた教師は、この理念を体感的に理解していますが、今後は教師の異動などに備え、理念を明確な言葉に置き換えていく作業が必要だと感じています。理念が『学校の文化』になったとき、初めて一連の改革が成功したと言えるのではないでしょうか」
 伝統校としての責務を負いつつ、果敢に改革に挑戦する浦和高校。単位制を手段として新たな全人教育の形を探る浦和高校の今後が注目される。
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