第一に挙げた組織・体制改革は、教養教育の再構築と不可分の関係にある。現在、教養部が残っている国立大学法人は東京大と東京医科歯科大のみ。その他の多くは、全学的に教養教育を統括する教育センターや委員会を設置し、その責任者として副学長や理事を充てて、責任を持って教養教育を推進できる体制を整えつつある。
こうした流れの中で見逃せないのは、各大学が教養教育に携わる教員数を軒並み増やしている点だ。
「91年の教養部廃止以降、多くの大学で教養教育を担ってきたのは元教養部、または教育学部の教員でした。本学も同様です。そのため、教養教育の重要性が再認識されたここ数年、各大学が模索してきたのは、専門教育の教員をいかに教養教育に引き込むかということでした。今後はこの流れを加速させ、より多くの教員が教養教育に携わる体制が整えられると思います」(川嶋教授)
実際、名古屋大のように、すべての教員が教養教育科目を最低1科目担当し、全教員体制で教養教育を実施する「登録教員群」制度を設けている大学もある。神戸大においても06年度を目処に、教養教育の科目を増やすと共に教養教育に多くの教員を振り分ける予定だという。
組織・体制改革と共に、授業の質を高めるための制度改革も盛んに行われている。例えば、セメスター制(※2)や学生による授業評価は全国公私立大の8割以上が導入、シラバスに至っては97%(02年度)の大学が作成している。また、アメリカで一般に行われている厳格な成績評価制度「GPA制度」(※3)を導入する大学も、ここ数年で急激に増加している(図2)。こうした諸制度の実施状況を確認することで、各大学の教育改革に対する姿勢や見識が見えてくるだろう。
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