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ティーチングからラーニングへ |
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組織・体制整備と並んで重要なのは、言うまでもなく教育内容の充実だろう。外国語教育や情報リテラシー、キャリア教育などの教養教育を拡充する他(図3)、近年、特に大学が力を入れているのが初年次教育(導入期教育)である。 |
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「フレッシュマンセミナー」「教養ゼミ」などのプログラムを設けて、大学での学びに必要な基礎的スキルやノウハウを習得させると共に、「高校と大学の学び方の違いはどこか」を気付かせていくのだ。
初年次教育が重視されるのは、学生の学力や学ぶ意欲の低下、推薦・AO入試の定着に伴う学習履歴の多様化への対応に加え、次のような理由もある。
「大学全入時代になれば、保護者が大学在学経験を持っていない学生も増えると予想されます。学生にとって『大学とは何か』といった情報は、大学の広報や高校の進路指導だけでなく、保護者が自分の大学在学経験を語ることで得られる部分も多いはずです。『大学とは何か』を考えずに入学してきた学生は疎外感を感じやすく、それが転部・退学などの引き金になることも少なくありません。『友人や教員との対人関係を構築することも大切』といった大学生活の心構えを教えることも、初年次教育のテーマの一つになると思います」(川嶋教授)
教育内容の変化と共に、教育方法にも変化が見られる。近年の教育方法の変化を象徴する動きが「アクティブラーニング」、すなわちフィールドの中で調査・研究を行う体験型学習の増加だ。そこには「教育の主体である学生が、自らの興味・関心を喚起させ学びに向かうことで、真の学力保証を目指すという意識がある」と川嶋教授は述べる。「教員中心の大学から学生中心の大学へのパラダイムシフト」に伴い、大学における学びも「ティーチングからラーニングへ」と変化しているのである。 |
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