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専門職大学院は実践的教員養成機関になるか |
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「在り方懇」報告書では、大学院の在り方についても言及された。中でも、専門職大学院については、04年10月の中教審への文部科学大臣諮問「今後の教員養成・免許制度の在り方について」で明確にされたこともあり、現在、大学院改革の最重要課題となっている。同諮問によると設置を検討する理由として、(1)教職課程の科目は理論や講義が中心で、演習や実験、実習等の時間が必ずしも十分ではない、(2)教職経験者が指導にあたっている例が少ないなど、実践面での指導力の強化が課題であるとし、そのために学校現場の課題に即した実践的な教員養成機関として、専門職大学院の設置の検討を促している。
では、専門職大学院における教育はどのようなものになるのだろうか。これは既存の教員養成系大学院の位置付けが不明確であるという、設置構想の根本的な課題と密接に関わっている。
「現在の大学院は、学部からそのまま修士課程へ進学するストレートマスターと、10~20年教職を経験して、更なる指導力の向上を目指す現職教員が混在しています。そのため、大学院における研究は、研究志向・実践志向どちらの院生にも中途半端なものにならざるを得ません。より実践力のある教員を養成していくという専門職大学院の趣旨に照らせば、実践志向の教育に比重を置くのが望ましいのではないでしょうか」(岩田助教授)
また、養成ルートの多様化を確保するという点も、設置構想の背景の一つにある。そのため、教員養成の専門職大学院も法科大学院と同様、様々な経歴を持った学生を集める仕掛けが作られる公算は大きい。宮城教育大・横須賀学長も「異業種で経験を積んだ人が教員として学校現場に参加すれば相当の活力になる」と期待を寄せる。
もっとも、専門職大学院についての議論は中教審で始まったばかりであり、設置大学院数や収容定員はおろか、教育内容や修了者の処遇などはこれからという段階だ。概要が明らかになるのは05年後半以降になるだろうと言われる。ただ、ほぼ確実に言えることは教員養成の専門職大学院が法科大学院のように、教員養成の唯一の養成ルートになるわけではないということだろう。また、一般大学の既存の大学院においても、教員養成を強化するところも現れつつある(※2)。文部科学省高等教育局専門教育課の長谷川和弘氏は、次のように述べる。
「従来の教員養成制度を大前提として、新たに教育のプロフェッショナルを養成する仕組みを考えようというのが検討の出発点。専門職大学院の議論を深める中で、教員養成の質を高めていくためにはどうすればよいのかを明らかにしていきたいですね」
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※2 東京大大学院教育学研究科では「学校教育高度化専攻」の創設、「学校教育高度化センター」の付設により、現職教員・教職の専門性、学校経営政策の高度化などを図ろうとしている。
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