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若手教員の熱意が新たな取り組みを生む |
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ところでこのSS講座、今でこそすべて城東高校の教師で実施しているが、01年度の導入時には学習指導はすべて外部の招聘講師による講座が行われていたという。進学校としての実績を高めていくために、外部の力も取り入れながら教科指導力を高めようとする、城東高校の真摯な改革意欲の現れであったと言えるだろう。
「改革を始めて以来、外部講師の指導法を参考にしながら、様々な独自のテキストを作成し、教科力向上の研鑽を積んできました。すべてのSS講座を本校教師で行えるようになったのも、教科指導力を蓄えてきたからです」(村岡先生)
こうした、教科指導力の向上と教師の熱意により、新たな取り組みが動き出していることは、城東高校の改革が新たな段階に入ってきた証といえる。若手教師の発案により04年度から始まった「SS2」と呼ばれる補習授業は、城東高校の改革がトップダウンからボトムアップへと変革しつつあることを如実に表している。発案者の一人である松尾先生は、SS2導入の経緯を次のように述べる。
「SS講座は主にI類の生徒を対象に実施していますが、II類やIII類、電気科・電子情報科にも『進学はしたいけれど勉強の仕方が分からない』と言う生徒は多い。そうした生徒を対象に、土曜日にマンツーマンで基礎学力の定着を図ろうじゃないかということで、若手教師を中心に提案したのがSS2でした」
しかし、土曜日の補習授業だけではなかなか学力が伸びない。そこで、今度は合宿という形で、金曜日の夜から土曜日まで教室に布団を敷き、生徒と共に寝泊まりをするようになったという。見かねた校長が3階建てシャワー室完備のセミナーハウスを設置するよう取り計らってくれたのも、そうした経緯があったからだ。
こうした動きに対して、生徒の方でも変化が起こってきた。元々、II類やIII類、電気科・電子情報科の生徒は全員が全員、大学進学希望者ではない。しかし、SS2の輪に引き寄せられて、大学受験を目指す生徒が大幅に増えてきたのだ。更にI類の生徒に至っては、『僕らにも学習合宿をやらせてください』と、自ら学習プログラムを練って、教師に詰め寄ってきたという。こうした生徒の熱意が、俄然教師たちのやる気に火を付けたことは言うまでもない。「『絶対この生徒を通してみせる』と、教師たちの団結力も上がりましたね」と松尾先生は言う。 |
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