ISO14001で環境教育と学校美化 |
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城東高校では改革の開始以来、学習指導と並行して生活指導にも力を入れてきた。特に挨拶指導については、学習同様、進級や卒業の評価対象にするほど力を入れている。
「問題を起こした生徒を罰するだけでは、生徒は変わりません。大切なのは生徒指導であり、その根本になるのが挨拶。学力だけではなく生徒の人間性も評価することで、生徒のやる気を高めていくことができると思います」(渡邊教頭)
挨拶評価の方法は、一人の生徒に対して2か月に1回、担任と教科担当がA~Cの3段階評価を付けて平均値を出し、評価の高かった生徒は表彰、低かった生徒は事後指導を行う。「すべての教師が生徒一人ひとりを見ることが大切」と、渡邊教頭は強調する。
また04年度は、環境マネジメントシステム「ISO14001」(※1)を取得したことで、城東高校の生活指導の幅は、更に広がったという。ISO14001推進主任の関根孝司先生は、認証取得の目的を次のように述べる。 |
※1 ISO14001とは、国際標準化機構の定める環境マネジメント。組織活動が及ぼす環境への負荷を継続的に改善していくためのシステムを定めている。 |
「身の回りの些細な取り組みの中で、生徒に社会性を身に付けさせられないかというのが、取得の目的の一つでした。ゴミや電気のような身の回りの些細な事柄が、世界的な環境問題につながっているということを、生徒たちは日常生活の中で実感できるようになったと思います」
ISO14001のシステムの中では、生徒も「準構成員」として、環境負荷の低減に対する義務を負う。そうした中においては、「なぜゴミを15分別もしなくてはいけないのか」「なぜ教室のクーラーの温度を27度以下に設定しなくてはいけないのか」といった生徒の疑問が日常的に出てくる。それに答えていくことが、そのまま環境教育につながっていくというわけだ。
加えて、関根先生は「学校の美化が生徒に落ち着きをもたらしつつある」とも指摘する。
「生徒一人ひとりが細かいところに気を遣うようになり、率先して学校の美化に努めてくれるようになりました。きれいな環境で学習することの大切さを実感してくれているのではないでしょうか」
改革を始めて4年、その成果は着実に現れている。進研模試の過年度比較の結果を見れば学力の伸びは一目瞭然、05年度入試における国公立大合格者数は前年の2倍に達した(図2)。だが、顕著な改革成果にも渡邊教頭は「進学実績は伸びているがまだまだ満足できるものではない」と慎重だ。他の教師にも改革の手綱を緩める気配はない。 |
▼図2 進研模試の成績推移と大学合格者数推移
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「どれほど実績を上げても、常に改革の姿勢を忘れてはいけません。本校にも、まだするべきことはあるはず。常に新しいものを追求し、生徒の可能性を引き出していきたい」(村岡先生)
教師たちの視線の先には、城東高校の更なる飛躍の姿が映っているのかも知れない。 |