ベネッセ教育総合研究所
VIEW'S REPORT 東アジア高校英語教育GTEC調査報告 小学校英語導入、SELHi型指導の成果を探る
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6 どのような教え方が英語技能を伸ばすのか?
 次に、3か国の高校英語教員107名を対象に行った調査結果を見てみたい。各国の教員経験年数の平均は、日本13・5年、韓国11・3年、中国9・2年となっており、いずれも各校で中心的に指導にあたっている教員である。
  過去5か年の教員研修の受講状況を見ると、日本と中国は50%の教員から受講したとの回答を得た一方、韓国が69・6%と、3か国の中で最も高い結果だった。
  また、3か国の教員が、授業でどのような「実践」を心掛けているのかについても調査した。「実践」の内容を、「実践能力/ニーズ理解」「関心意欲」「ネイティブ志向」の3つの観点で分析したところ、「実践能力/ニーズ理解」で中国が高いスコアを出していることが明らかになった(図10)。中国の教員は、英語での議論やプレゼンテーションといった実践的な能力の育成を目指した授業を実践すると共に、学習者のニーズを踏まえた指導を心掛けている傾向がうかがえる。また「ネイティブ志向」の項目でも中国のスコアが高く、次いで日本・韓国の順となっている。中国は平均スコアで3か国で最も良好な結果であったが、こうした指導が生徒の英語力向上に効果的に働いた可能性は十分考えられる。
▼図10 教師が授業で重視する指導実践の内容 
図10
  それでは、英語の教員の指導を、生徒たちはどのように受け止めているのだろうか。図11は、授業での学習活動を生徒がどのように認知しているのか分析した結果である。一見して、日本の英語教育では「分析的学習」が特に重視されていることが読み取れる。
▼図11 学習内容認知の3か国と日本SELHiの対比(学習内容認知) 
図11
▲クリックすると拡大します。
  だが、ここで真に注目すべきは、破線で示された日本のスーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール(SELHi)のグラフが、4つの項目共にバランスの良い分布を示していることではないだろうか。ともすればSELHiの英語指導は、コミュニカティブな指導に偏っていると見られがちであったが、実際にはバランスの取れた指導が行われている様子が分かる。更に、日本の一般校との違いを見ると、SELHiでは英語使用活動やプロダクション活動の認知が高いだけでなく、分析的学習もしっかり行っていると、生徒に認知されている様子がうかがえる。
  こうした指導方法は図12の通り顕著な成果を上げている。特に英語力の「伸び率」が一般校を上回っていることは注目に値しよう。
▼図12 GTEC for STUDENTSのSELHiと全国平均との比較(TOTAL SCORE)
図12


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