――人間形成の場としても、部活動の果たす役割は大きいですよね。
僕の中学生の娘はバレーボール部に入っているのですが、妻と娘の会話を聞いて面白いなと思ったことがあるんですよ。誰かがサーブを打つときに監督が「外せ!」なんて声をかけるらしいんですね。それを見ていた妻は「ひどいことを言うわね」と腹を立てるんですが、娘は「あれはわざとああいうことを言って、反発させることで人間的に成長させようとしているんだよ」って言うんですね。結構、監督の意図を深く読んでいる。娘も以前はその監督からかなりしごかれて、愚痴を言ったりもしていたのですが、最近は監督の悪口は言わなくなりましたね。厳しい練習を通して、監督との間に信頼関係ができているわけです。
良い指導者はスポーツを通して教え子を人間的に成長させることができるんだなと、つくづく思いましたね。
――厳しさの中から大切なものをつかんでいくわけですね。
部活動を大切にする先生というのは、高校在学中の3年間を良い思い出にしてもらいたいという気持ちが強いんだと思います。厳しい練習も、後々の人生できっと役に立つという確信があるんですね。僕も小学校5年生からずっとラグビーを続けてきて、辛い経験もたくさんありましたが、今になって思えば、高校までの部活動の経験によって自分の人生が形成されたなって思いますよ。
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