特集 真の「文武両道」を目指して
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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 良質な「負け経験」を積むための場として

 現代社会においては、教育現場で平等志向が高まる一方で、企業社会においては欧米流の競争的な環境が強まっている。小学校の運動会で、勝ち負けがつかないように競技の方法を変更した、といった話を耳にするが、このままでは、子どもに健全な「負け経験」を積ませないまま、競争的な環境に送り出すことになりかねない。
  その点、勝敗が明確につき、なおかつ健全な競争的環境が提供できる部活動や特別活動は、良質の「負け経験」を得るための貴重な場となり得る。しかも、ここで得られた「負け経験」の成果は、単に部活動に還元されるだけにとどまらない。失敗から立ち直るメンタルコントロール、失敗を乗り越えることで得られる自信、仲間と共に困難を乗り越える経験などは、学習面でのモチベーション向上にもつながるはずだ。部活動へのモチベーションを、学習にうまく転換させられるような取り組みが求められているのである。
  実際、学習に高いモチベーションを発揮できる生徒の多くは、部活動にも高いモチベーションを持って取り組んでいる生徒だとの研究もある。その一方、部活動に打ち込めない生徒は、学習にも打ち込めない傾向が近年は顕著だ。こうしたモチベーションの二極分化が「アスピレーション・クライシス」として問題になってきている。



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