学校の個性化が強く要請される社会情勢を受けて、非「高進学率校」では、進学あるいは、部活動に特化した学校づくりを志向する傾向が強まっている。こうした中、進学でもアピールし、かつ豊かで多様な部活動を提供する「特色ある学校づくり」を打ち出すことは、今後の高校の生き残りを考えた際に、有望な戦略の一つとなるであろう。
現在の高校生の特質として、何か一つのことに専心する「汗臭さ」よりも、色々なことを適度に楽しみたいという「マルチカルチャー的」な性向が知られている。そこでは「文武両道=多様な活動を楽しみながら、勉強もし、充実した学生生活を送ることができる」学校づくりも有効となるであろう。
例えば、欧米のようなシーズン制(季節に応じた活動内容)や大学のサークル活動のような部活動の在り方など、教師や生徒が共にスポーツや文化活動を豊かに楽しむ場を学校につくる。その結果、そこで形成される生徒間の、また教師と生徒の人間関係から、教科指導や生徒指導にプラスの効果を期待することもできよう。
私がこれまで研究した限りでは、非「高進学率校」では、部活動を通して学校適応が促進され、その結果、学業に正の効果が生じているデータを得ている。生徒の「マルチカルチャー」志向を「文武両道」につなぐビジョンが示せれば、生徒満足度の高い学校づくりが可能なはずだ。
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