特集 真の「文武両道」を目指して
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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目標管理的な手法で部活動を運営

 では、自己管理能力を育成するために、具体的にはどのような活動が行われているのだろうか。まず注目されるのは、祇園北高校の多くの部活動が、生徒主体の運営方法を採り入れていることだろう。インターハイへの出場実績もある陸上部では、大学スポーツなどで積極的に採り入れられている目標管理的な手法を特に重視している。
  「練習メニューの設定から、練習中の時間管理、更に大会前後のスケジュール管理まで、部活の運営はできるだけ生徒自身の手に委ねています。生徒が自ら主体的に部活動をつくり上げることこそ、自己管理能力の育成につながるからです。私の主な役回りは生徒の自己管理のサポートですね。こまめに生徒と話をして、目標設定やメニューが適切かどうか、あるいは、どういうメニューをこなせば、どういった力が身に付くのかをきちんと生徒に伝えることに徹しています」(松崎先生)
  とは言え、中学校までメニューを与えられる活動に慣れてきた生徒の中には、このような指導にすぐには適応できない者もいる。そこで祇園北高校では、部活動の中に「書かせる指導」を積極的に採り入れることで、生徒の自発性を育成しようと考えている。
  「部員全員に『活動日誌』を書かせて、目標が達成できたのかどうか、自分の取り組み状況がどうだったのか、振り返りの機会を与えています。また、大会前などには特別にプリントを用意して、生徒の自己管理を徹底させます(図2―1)。その際には、簡単ですが、家庭学習の状況を記入させる欄も設けて、学習と部活の両立を意識させます。自分の行動を逐一文章化することで、意識を高めていくわけです」(松崎先生)
  教務部長の槇田成樹先生が顧問を務める野球部では、生徒自身に練習試合の結果をまとめさせることで、同様の効果を狙っている(図2―2)。

▼図2-1、2-2 クリックすると拡大します。
図2

  「野球部では『Make a Game』つまり、ゲームは自らつくるものというテーマを掲げて活動しています。1試合ごとに、それまでの練習の成果を反省することで、次の試合に向けた目標が明確になります。また、『夏の大会まであと□日』といった具合に、先を見越した目標を立てさせることも意識していますね。試合後の反省会も、顧問を交えて行うものを1回、更にその後、生徒だけで行う反省会をもう1回実施しています。顧問のアドバイスを鵜呑みにするのではなく、自分たち自身で客観的に振り返ることで、更に分析を深めることを狙っているわけです」
  このような指導を受けた生徒たちは、同様の手法が学習にも有効であることに次第に気付き始める。「部活ができるほど勉強もできる」という回路が、部活動を通して知らず知らずのうちにつくられていくわけだ。
  「生徒には高いレベルでの自己管理能力を身に付けてほしいので、授業時間との意識の切り替えや部活の終了時間については特に厳密に指導しています。以前は一部の部が、終業後もダラダラと練習を続けていたようなこともあったのですが、ここ数年は全生徒を午後6時50分までには完全下校させるように徹底して指導しています。また、本校では日によって部活の開始時間がずれないよう、65分×5コマをベースにしたカリキュラムを作成しています。学習と部活の切り替えをタイミング良く行うことで、メリハリのある生活を送ることができます。このことは、部活を引退した後、スムーズに受験勉強に移行する上でも大きな意味を持っていると思います」(作本先生)


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