特集 真の「文武両道」を目指して
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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教師、生徒が「文武一貫」の理念を共有する

 一方、このような指導を行うためには、部活動顧問が、部活動の目的について高いレベルでコンセンサスを形成していることが欠かせない。祇園北高校では、基本的に教師全員が部活動顧問を担当すると共に、年2回のペースで「顧問会議」を開催し、教師の目線合わせに取り組んでいる。男子バレーボール部顧問で保健体育科主任の澤田平和先生は、その意義を次のように語る。
  「顧問会議では、細かな指導のアイディアはもちろん、『部活を通じて、生徒にどのような力を身に付けさせたいのか』といった理念的な部分でも情報交換を行います。特に『武からの学力向上』というアプローチが明確になった2年ほど前からは、どの部活の顧問もその点を強く意識するようになりました。運動系のみならず、文化系の部の顧問も参加するので、指導方針の統一には大きな効果があると感じています」
  また、教師の意識統一と並行して、生徒に対しても「文武一貫」に向けた共通ビジョンを描かせる取り組みが実施されている。祇園北高校では、すべての部のキャプテンとマネージャーを集めて、「リーダー研修」と呼ばれる研修会を実施しているのだ(図3)。

▼図3 クリックすると拡大します。
図3

  「リーダー研修は04年度からスタートした取り組みで、年2回、6月と12月に実施しています。部活動運営に対する教師としての思いを伝えると同時に、部活を通して生徒自身がどのような力を身に付けたいと考えているのか、そのために、自分の所属する部ではどんな活動が必要なのかを考えさせました。ここで意識を高めた生徒たちが、各部の活動を引っ張ってくれることを期待してます」(作本先生)
  もちろん、一般の生徒に対する意識啓発も行われている。図4は「文武一貫」の意識付けを狙い、祇園北高校が実施している年間の取り組みをまとめたものだが、一見して、先輩や卒業生を「ロールモデル」として提示することを重視していることが分かる。

▼図4 クリックすると拡大します。
図4

  「教師が文武両道の意味を何度も説明するよりも、実際にうまく実践している先輩の姿を見せた方がはるかに効果的なケースは多いですよね。そこで、『卒業生を囲む会』『大学・職業紹介フェア』など、直接先輩の声を聞ける場を年間を通して用意しています。また、『合格体験記』『後輩へのメッセージ』といったプリントなども作成し、年間を通して後輩たちにメッセージを伝えています。『部活をやっていたからこそ志望大に合格できた』という先輩の声は、何より生徒の励みになりますからね」(槇田先生)


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