松山南高校では、担任が生徒のフォローに努めるのと並行して、部活動顧問もまた生徒の把握に努めている。特に部活動顧問が生徒の成績面にも気を配っていることは、松山南高校が文武両道を実践する上で大きな意味を持っているようだ。
「私は登山部の顧問をしています。部に参加している生徒の成績には常に気を配るようにしています。テスト前などは特に生徒とのコミュニケーションを密にして、特定の教科に問題を抱えているようでしたら、教科担任の先生にフォローを入れてもらうようにお願いしています。もちろん、自分が面倒を見られる範囲なら、私が直接放課後に勉強を教えることもあります。部活の顧問は、ある意味でHR担任よりも多くの時間を生徒と共有できるわけですから、学習面でもきちんと生徒把握に努めることが大切だと思います」(千葉先生)
一方、文化系の部や、SSH指定を受けている理数科の生徒が加入している部では、また別の観点でのフォローが必要だという。生物部と放送部の顧問を兼務する中川和倫先生はその事情を次のように話す。
「文化系の部の場合、複数の部を兼部している生徒が多いので、教科学習との両立に加え、他の部活との両立にも気を遣います。また、SSH指定を受けている理数科の生徒は、放課後などに課題研究活動にも取り組んでいるので、複数の教師が目線を合わせながら生徒を見守る姿勢がなおのこと必要なんです。常に教師が見ていてくれるという安心感は、生徒が学校を信頼して文武両道に打ち込むことに必ずつながります。実際、SSHで顕著な研究成果を残し、部活も最後までやり遂げた生徒が『どちらもやり通せて本当によかった』と声をかけてくれたこともありました」
松山南高校の生徒たちが3年次に至るまで高い部活動加入率をキープできるのは、こうしたきめ細かなフォローがあればこそだ。事実、松山南高校では、部活動に打ち込んだ生徒ほど学習面でも高い成果を上げており、今年度は、各部の部長を務める生徒のうち、実に6割が、習熟度別授業ではレベルの高いクラスに在籍しているという。
「終了時間を守る、あるいは少ない時間をいかに工夫して使うかを考えさせる、といった指導を部活で徹底していることが、学習面にもつながっていると思います。メリハリをつけた生活習慣こそが学習の基本ですから」(渡辺先生)
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