伝統校ならではのこの取り組みの意義を、特活課長の古茂田宣夫先生は次のように説明する。
「各種の学校行事をブロック単位で実施することは、異年齢間交流を通じた生徒の人間的な成長に大きな効果があると考えています。各種の学校行事で活躍する先輩の姿を後輩が見ること、そして、200名を超える人間が一つにまとまって動く経験は、異年齢間交流が希薄化した現在だからこそ、大きな意味を持つと思います」
このような目的を踏まえ、松山南高校の「ブロック」は、各学年から2クラスずつを抽出し、それらを縦に組み合わせて編成されている。また、一度結成されたブロックが、1年間に渡って維持されることも松山南高校の特徴だ。集団として一定期間まとまりを持たせることで、責任を持った組織運営を生徒に促すのがその狙いである。
「各ブロックの運営は、基本的に生徒に任せています。3年生からリーダー長を男女1人ずつ選出してもらい、その2人を軸に、ブロックをまとめてもらいます。実務担当者をどう選出するか、運動会に向けてどのように応援練習をセッティングするのか…といったところから生徒が考えるので、組織運営の方法や、人を動かすためには何が必要なのか、といったことに生徒が思いを巡らすことができるわけです。もちろん教師も各ブロックに分かれて運動会やブロックマッチに参加しますが、その役割はあくまでもサポート役です」(古茂田先生)
千葉先生は、ブロック活動には、更に大きな意味があるという。
「近年の生徒の気質変化に伴って、高い資質を持ちながら、なかなか人前に出られなかったり、集団の中でリーダー的な役回りをすることができない生徒が見られるようになってきました。しかし、そんな時代だからこそ、地域からは本校に対するリーダー輩出へのニーズが高まっているとも言えます。200名を超える生徒たちが、共に一つのものをつくり上げる経験はそうした資質を養うことのできる貴重な場になっていると思います」
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