以上、松山南高校の文武両道の根幹となる取り組みを見てきたが、これらを軸に生徒を育てる体制を維持していくのは容易なことではない。社会環境や教育課程の変化の度に、松山南高校の教師たちが試行錯誤してきたからこそ今日の成果があるのだ。特に、02年度の理数科のSSH指定は、松山南高校が「文武両道」をどう維持していくのかの試金石になったという。
「SSH指定を受けた以上は、それにふさわしい充実した研究活動の機会を生徒に与えなければいけません。『単位設定を柔軟化できるメリットを生かし、単位数を増やしてでも研究活動の時間を増やすべきではないか』という意見もありました。しかし、理数科だけが『文』の面に力を入れすぎては、学校として『文武別道』にならないとも限りません。そこで、教務課とも相談しながら、本校ではあえて単位の優遇枠を利用しないカリキュラムを作成しました。理数科の生徒にも部活やブロック活動に参加する時間を確保することが大切だと考えたのです」(中川先生)
結果、松山南高校の理数科は、普通科とほぼ同じ、年間32単位をベースとしたカリキュラムとなった。かなり厳しい条件だが、そんな中にあっても、松山南高校からは内閣総理大臣オーストラリア科学奨学生や国際生物学オリンピックに出場する生徒が輩出している。
「厳しいカリキュラムを自らに課したことで、授業の質の向上が図られたからではないかと思います。また、少ない時間の中でいかに多くを生徒に教えるかについても、各教科で随分意識が高まりました。生徒の頑張り、そして先生方の頑張りがあったからこそ、SSHと部活やブロック活動が両立できたのだと思います」(中川先生)
高いレベルでの文武両道の実践に向け、教師自身が努力を重ねる松山南高校。このような松山南高校の姿勢は、文武両道を達成するための原点なのではないだろうか。
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