「学生と教員との交流が少ない」ことに対する不満が高いことも、経済・経営系学部の特徴だ。一般的に同学部系統は定員数が多く、授業は広い教室で大勢の学生を前に行われる講義形式のものが多い。こうした構造的な問題が、学生と教員の交流を少なくし、学生の満足度を下げる理由の一つになっていると考えられる。
「経済・経営系学部の授業がマスプロ教育になりがちなのは確かです。本学ではできるだけ科目を増やして、一つの授業に学生が集中しないようにしたり、本学の伝統的な科目である外書講読についても50~60名の人数で行うようにしています」(神戸大・櫻井教授)
また、少人数教育の最たるものはゼミだが、一橋大・神戸大とも伝統的にゼミを重視し、学生と教員の密なコミュニケーションを図っている。一つのゼミに40~50名の学生が在籍する大学も見られるが、両大学とも定員は10~15名前後。一橋大は伝統的な「寺子屋方式」を堅持し、近年では導入期教育の役割を併せ持つ「導入ゼミ」を1年次から実施している。
「導入ゼミは、かつて1・2年生向けに必修科目として課していた外書講読を取り入れながら、資料の読み方や論文の書き方などを学ぶゼミです。かつての外書講読のように、いきなり高度な専門書を読ませても、今の学生には難しい。ですから、比較的易しい経済学や商学の専門書を題材にしながら、同時に大学で学ぶ方法を修得させるのです」(一橋大・山内教授)
学生の要望をきめ細かく吸い上げ、学生と教員とのコミュニケーションを重視することが、今後一層、同学部系統の改革のポイントとして重要になってくるだろう。
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