大学改革の行方 経済・経営系学部の改革の現状
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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語学と情報処理能力はビジネスマンに必須のスキル

 次に、経済・経営系学部の卒業後の動向と、卒業生に求められるスキルについて述べたい。同系統の就職先は多岐に渡るが、特に経営学部や商学部は商社や銀行が圧倒的だ。今もその傾向にほとんど変わりはないが、学生の就職に対するスタンスは大きく変わってきている。
  90年代の不況を通して、多くの企業は新入社員に即戦力を求める傾向が強くなった。そのため、入社試験の際、企業は「どこの大学・学部を卒業したのか」ということ以上に、「学生時代にどんな勉強をして何を身に付けたのか」を重視する傾向が顕著になっている。
  学生もそうした企業側の意向を敏感に察知し、大学在学中に具体的なスキルを身に付けようとする意欲が強くなっているという。先に見た神戸大の公認会計士養成プログラムもそうした学生の要望に応えた取り組みと言えるだろう。また、これに伴って学生の方も「営業の第一線で力を発揮したい」「経理のプロになりたい」など、業種や会社の知名度よりも仕事の内容を重視して就職先を選別する傾向が強くなっているという。
  では、今後経済・経営系学部卒業者には、具体的にどのような能力が求められているのだろうか。経済学や経営学、商学の専門知識はもちろんだが、神戸大・櫻井教授によると「基礎的な素養として語学力と情報処理能力が、現代のビジネスマンにとっては必須のスキル」だという。実際、企業が大学へ寄せる要望にも、これらを身に付けた人材を育成してほしいという声が多いという。
  語学力と情報処理能力を重視するという点は一橋大も同様だ。特に語学教育については「読み書き中心からコミュニケーション中心へ、根本的に教育の在り方を見直していく」(山内教授)という。


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