だが、高津高校の教師たちは現状に更なる改革の必要を感じている。具体的にどのような点に課題を感じるのか。寺尾先生はそれを「浪人生のフォロー」だと語る。
「今後は、現在の量的な増加を、更に質的な向上へと高めると共に、浪人生に対するフォローを強化していきたいですね。現役国公立大合格率が伸びたとは言え、未だにその数値は36・6%。残りの生徒は志望を変更して私立大を受験したり、あるいは浪人生になってしまっているわけです。彼らを最後までケアできる仕組みがなければ、本当の意味で生徒に対する進路保証が実現できたことにはなりません」
このような問題意識は、早速具体的な行動として実行に移されている。寺尾先生は浪人生とその保護者へのヒアリングを踏まえ、浪人生の夏季補習への参加を認める、あるいは、学校が実施する校内実力テストへの参加を呼びかけるといった改革案を進めている。また、PTA組織とは別に立ち上げた、有志による後援組織「教育後援会」の活性化、新たな教育目標の設定などが、今後の大きな課題として認識されているという。木村校長は、今後のビジョンを次のように考えている。
「この3年で高津高校は『革命』と評してもよいくらいに変わったと思います。それは、取りも直さず教師の意識が変わったということです。しかし、未だシステム面においては、『他の進学校ができていることが普通にできるようになった』という状態にたどり着いたにすぎません。先生方の改革意欲を更に引き出し、『教師が変われば学校が変わる』という実績を今後も積み上げていきたいと考えています」
現状に甘んじることなく、更なる向上を目指す高津高校。「革命」は未だ進行中なのだ。
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