だが、万全の準備態勢を敷いて男女共学に踏み切ったものの、教職員の間には二つの大きな懸念があった。一つはどれくらいの数の男子が入学してくるのか、もう一つはどれだけ優秀な生徒が入ってくるのかということだった。しかし、入試結果と入学後に行われる新入生テストの成績を見た教師一同は、その心配が杞憂であることを知った。
「一番心配したのは男子の入学者数でしたが、実際には男子の入学者は全体の4割に達しており、共学1期生としてはまずまずの出だしになりました。また、県統一の新入生テストの結果を見ても、過年度比較で2段階ほど上がっており、学力的にも優秀な生徒が数多く入学してくれたと思います」(大代先生)
ただ、以前に比べて優秀な生徒が多くなったとは言え、上位層と下位層の差が大きく、生徒間の学力にばらつきがあった。
そこで、高岡西高校がまず着手したのは学習習慣の定着だった。学年主任が前任校で実施していた学習記録表が導入され、入学した次の日から毎日、帰宅後どの教科をどれくらい勉強したのかを記録させていったのである。
「最初は1時間でも2時間でもいいから家で机に座らせるということを習慣付けようと思いました。ですから、最初は記録を付けさせると共に、全校集会やホームルームなど、事あるごとに家庭学習の大切さを説きましたね」(大代先生)
また、手厚い指導により学力の定着も図っていった。
例えば、国語担当の奥澤久夫先生によると、国語では定期考査はもちろん、日々実施する小テストに至るまで、すべてのテストを100点答案になるまで再提出させたという。
「テストの大小にかかわらず、再提出は必ず課しています。古文単語や漢字などの小テストなら、間違ったところは10回書かせて満点答案にして提出させます。課題の提出についても、空欄は未提出と同じ扱いとして、必ず空欄がなくなるまで記入させて提出するように指導しています」(奥澤先生)
教師の作問技術の向上を図るべく、入試問題研究会や年2回の校内模試も導入した。
入試問題研究会は、富山大を中心に近県の国公立大の入試問題を研究し、各教科の代表が、全職員が集まる職員会議で当該年度の入試問題の傾向や特徴について発表し、共有化を図るものだ。校内模試は8月と11月に行う高岡西高校オリジナルの模試で、当面のターゲットである富山大の入試問題のレベルに合わせた作問を心掛けた。入試問題の分析や模試の作問を通して、教科指導力の向上や進路指導ノウハウの蓄積を目指したのである。
|