進学実績の向上と合わせて、職員室の雰囲気も大きく変わっていった。教師間の風通しが良くなり、職員室でも自由に意見を言い合える雰囲気が生まれてきたのである。折しも、改革が軌道に乗り始めた01年度、高岡西高校に赴任した進路指導部・教務部副部長の大崎武治先生は、当時の職員室の熱気を次のように振り返る。
「私が赴任して一番に感じたのは、職員室の風通しの良さです。会議の場でなくとも、教科指導や学校行事について、常に先生方が議論をしていますし、誰に言うともなく口に出した疑問に対して、予想しない方から答えが返ってくることも少なくありませんでしたね。また、新しい取り組みに対して反対意見が出るのは常ですが、一旦決まったら皆で一丸となってとことんやり抜く姿勢にも驚かされました。生徒を伸ばすにはどうすればいいのかということを、すべての先生方が考えておられるのだなと思いましたね」
更にもう一つ、学校の雰囲気づくりに寄与したものがあった。それは女学校時代から続く徹底した生徒指導の伝統である。
「生徒指導について、単に規則として明文化したり、強化期間を設けて服装チェックをしたりする学校は多いですが、本当に大切なことは、教師が日常的にどれだけ生徒を見ているか、あるいは声をかけているかということです。伝統的に全教師が生徒指導に当たるという意識が浸透しているのも、本校の強みだと思います」(奥澤先生)
実際、高岡西高校では生徒指導部以外の教師であっても、授業を始める前に服装が乱れている生徒がいれば注意を促し、きちんと直させてから授業を始めるという光景が日常的に見られる。
そして、「共学化以降の改革が着実に成果を上げている背景には、こうした生徒指導の基盤がある」と大崎先生は指摘し、更に次のように付け加える。
「一般的に力のある生徒に限って教師の言うことを聞こうとしない場合も多いですが、本校の生徒はどんなにできる子でも、先生方のアドバイスを聞いて一生懸命努力しようとする。生徒指導がしっかりしているからこそ、教師の思いが伝わりやすい素地が生徒の中にできているのではないかと思います」
生徒は教師の熱意に後押しされることで進学実績を伸ばし、生徒の頑張りが教師一人ひとりの熱意を引き出す。こうした好循環が高岡西高校の躍進の原動力となっていたのだ。
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