VIEW'S REPORT 小中高生の学習実態から見る高校教育の実態
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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 家庭学習時間の二極化傾向

 学習意欲の低下が喧伝される昨今であるが、子どもたちはどのように学習に取り組んでいるのだろうか。まずは家での学習時間から見てみよう。

▼図2 
図2

  図2は、平日の家での学習時間を学年別に示したものである。これによると、家での学習時間は、学年が上がるに従って、ほとんどしない層と長時間する層へと二極分化していく傾向が見られる。この傾向は、休日の家での学習時間についても同様の結果であった。
  平日の家での学習を「ほとんどしない」割合に注目してみると、小学生ではどの学年でも10%以下であるが、中1生になると23.5%へと急増していることが分かる。この傾向は高校生になっても変わらず、高1、高2ともに、3割前後が「ほとんどしない」層になっている。その一方で、「2時間以上」学習する層が、学年が上がるに連れて中3生まで増加している。
  一方、学習時間の平均については、小学生52分、中学生1時間01分、高校生1時間02分となっており、小学生から高校生にかけてわずか10分しか変化していない。ここから、子どもたちの学習時間は、学年が上がるに連れて平均的に増加するのではなく、次第に二極化が進行していくことがうかがえる。
  ただし、中3生については例外的である。高校受験が学習の目標となって、「ほとんどしない」が中2生よりも減少し、長時間学習する層の割合が増加している。だが、高校生になると再び「ほとんどしない」層が増加しており、高校受験という学習の目標を通過した後、どのように学習の目標を設定し直せるかが課題となっていると言えよう。

▼図3
図3

  高校生の結果について更に詳しく見てみよう。図3は、平日の家での学習時間について、高校を「偏差値60以上」「偏差値50~60未満」「偏差値50未満」の偏差値層別に示したものである。これから明らかなように、学習時間は高校の偏差値層による違いが非常に大きい。
  「偏差値60以上」の高校では「ほとんどしない」層は13.6%だが、「偏差値50~60未満」では27.5%であり、「偏差値50未満」では67.7%を占める。また、平均学習時間で比べてみても、「偏差値60以上」1時間26分、「偏差値50~60未満」58分、「偏差値50未満」17分となっており、高校によって差が大きいことが分かる。
  では、各偏差値層別の母集団を、更に成績別に上・中・下位層で分けてみると、学習時間はどのように違うのだろうか。平日の家での学習を「ほとんどしない」層を成績別に示したのが図4である。

▼図4
図4

  このグラフの作成にあたっては、まず、国語・数学・理科・社会・英語の5教科について、生徒にそれぞれ学年の中でどのくらいの成績だと思うかを5段階の自己評価で回答してもらった。そして、その結果を合計して「上位」「中位」「下位」と分類した。
  当然ながら、どの偏差値層の高校でも、成績下位層には家で学習をほとんどしない層が多いことが分かる。
  前述の通り、高校の偏差値層による学習時間の差は大きいが、更に校内を成績別に分けてみると、成績と学習時間の相関が高いことも確認できる。


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